【10月18日付社説】飯舘村長6選/復興へ「までい」にまい進を

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 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後、初の選挙戦となった飯舘村の村長選は現職の菅野典雄氏が6選を果たした。

 選挙戦では、来年3月末の避難指示解除(帰還困難区域を除く)が最大の争点になった。菅野氏の勝利で、解除に向けた動きは予定通りに進む見通しとなった。

 有権者は、村の復興策を進める菅野氏の実績と姿勢に一定の評価を下し、避難指示解除によって復興を目指す村政の継続を選んだ。菅野氏は票の重さをかみしめ、村の復興にまい進してもらいたい。

 選挙は、現職に新人が挑む構図で12年ぶりの選挙戦となった。菅野氏は、震災と原発事故後に政府と交渉して実現した施策や村長5期の実績などを強調し、避難指示解除後の「新たな村づくりによる復興の加速化」を訴えた。

 対する新人は、避難指示解除の決定には村民の同意がないとして白紙撤回を訴えたが、村民は村のかじ取り役を再度、菅野氏に託した。しかし投票率は過去最低で、有権者の一部には多選に対する批判もある。真摯(しんし)で丁寧な村政運営が引き続き求められる。

 村の課題はたくさんある。避難指示の解除に向けて7月から長期宿泊が始まった。しかし今月16日現在の登録者は155世帯352人にとどまり、村の人口の1割にも満たない状況だ。国による除染は、住宅が完了、農地は9割超で終わったが、放射線に対する住民の不安は払拭(ふっしょく)できずにいる。

 インフラの整備も重要だ。今夏には役場機能の全てが村に戻り、村交流センターが開館、9月には医療機関も診療を開始するなど避難指示解除に向けた準備が進む。来年8月には復興拠点として道の駅がオープン、2018年春には小中学校も再開する予定だ。しかし避難先での暮らしに慣れた村民からすれば不十分に映るだろう。

 復興庁が昨年暮れ、飯舘村民を対象に行った住民意向調査の結果では、避難指示解除後の帰還の意向について、「戻りたい」が32.8%、「戻らない」が31・3%と拮抗(きっこう)し、双方とも同年1月に行った調査より少しずつ増えた。これに対して「まだ判断がつかない」は24%まで減少、住民の意向は時の経過とともに固まりつつある。

 飯舘村は「手間暇を惜しまず」「丁寧に」「心をこめて」などの意味が込められた土地の言葉「までい」を村づくりのキーワードに使ってきた。村民が村で暮らすために必要となる基本的インフラ整備を急ぎながらも、村の確かな復興に向けては「までい」の精神でじっくりと取り組んでほしい。