【10月21日付社説】行政の婚活支援/縁結びの環境つくる働きを

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 政府は来年度、自治体が主催する「婚活」イベントへの交付金を倍増する方針を固めた。未婚率の上昇に歯止めをかけ、安倍晋三政権が目指す「希望出生率1.8」の実現へ弾みにしたい考えだ。

 結婚や出産は人それぞれの人生観が大きく左右する問題だ。行政として最善の関わり方を模索しながら、縁を取り持つ環境づくりに力を注いでほしい。

 県と県内市町村の婚活支援は活発になっている。結婚という個人的な問題に行政が関わるのは、少子化や人口減少への危機感からだ。県の推計では、県人口はこのまま対策を講じなければ、2040年に147万人に減り、60年には現在の半数に近い107万人になる見込みだ。人口が減ると、年金、医療などの社会保障、地域のコミュニティーが保てなくなる。人口減少対策は急務だ。

 一方、結婚を望んでいても出会いに恵まれずに結婚できない人もいる。16年度版少子化社会対策白書によると、未婚者(18~34歳)のうち男女とも9割近い人が「いずれ結婚するつもり」と考えているが、その多くは交際相手がいない。白書は特に職場など、身近な出会いが減少したためと指摘する。

 国立社会保障・人口問題研究所によると、50歳で未婚だった県民の割合(生涯未婚率)は、男性は1990年の5%から、2010年には20%に大きく増加した。女性は4%から8%に増えた。10年の平均初婚年齢は男性が29.7歳、女性が27.9歳で、この20年間で男女とも2歳ほど延びた。県内でも未婚、晩婚化が深刻な問題だ。

 かつて地域には結婚を取り持つ「世話焼き人」がいた。しかし現在は地域や職場での人間関係が薄れ、出会いが少なくなったとされる。このため行政が男女の出会いを支援することが必要になった。

 県は、世話焼き人を各地に復活させる事業を展開している。8月末までに48人が登録、結婚を希望する人から相談を受けたり、出会いを仲立ちしたりしている。これまでに結婚したのは5組。担当者は「互いの希望を合わせるのが難しい」という。人脈などの掘り起こしをさらに進めてもらいたい。

 県内の市町村も婚活イベントの開催などに取り組んでいる。県が中心になり、市町村の枠を超えて、互いの支援策を共有できるようなネットワークをつくりたい。

 併せて、働き方改革を一層進める必要もある。特に女性は、結婚や出産を機に離職するケースが多い。子育てと仕事の両立に向け、県は企業に理解を求め、職場の環境を整えるべきだ。