【10月25日付社説】臨床研修医/確保と定着へ環境づくりを

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 新人医師が臨床研修先として本県を選び、研修後も県内で働き続けてもらえるような環境づくりを進めることが重要だ。

 厚生労働省の発表によると、2017年度から県内で臨床研修を始める新人医師の内定者数は97人で、研修が義務付けられた04年度以降で最多となった。しかし、臨床研修先に指定されている18病院の募集定員に対する内定者の割合(充足率)は63.0%で、全国平均の79.6%を大きく下回った。

 臨床研修は、基本的な臨床能力を身に付けさせる目的で始まった制度で、医学生らは大学卒業後、2年間の研修が義務付けられている。新人医師の教育と医師不足の解消は別の問題だが、研修医の3分の2は研修後も県内にとどまるとされる。県内の医師不足解消に向けて、研修医の確保に一段と力を注がなければならない。

 18病院のうち定員を満たしたのは7病院で、9病院は定員に満たず、2病院は内定者がゼロという結果だった。全体では過去最多となったが、内定者がいない病院は1増した。一方で、定員に満たないものの内定者が前年度の4倍になった病院もあるなど病院間では格差がある。

 厚労省の14年の調査によると、県内の医療機関で働く医師数は10万人当たり188.8人で全国43位だ。全国平均は同233.6人で、本県のレベルを全国平均まで引き上げるためにはあと約870人医師を確保しなければならない。さらに県内2次医療圏(7地区)別では、県北医療圏以外は全国平均を大きく下回っているのが現状だ。病院間、地域間にある格差の解消も念頭に置き、対応を急がなければならない。

 来春の臨床研修医の内定者が過去最多になったとはいえ、前年度比では1人増にとどまる。他県の状況をみると、医学生に人気が高い大都市圏を除いても、長崎で34人、鹿児島で22人、富山で17人増えている。東北でも岩手で12人、青森で10人増など前年度より大幅に増やした自治体がかなりある。

 増加率が40.5%と全国トップとなった長崎県は、10年に県全体で医師の誘致に向けて発足させた「新・鳴滝塾」の取り組みが成果を上げつつあるとしている。同県内だけでなく、県外からの医学生の内定者が多いのも今年の特徴だという。

 本県においても県内出身者や医学生だけでなく、県外の医学生らの研修受け入れは大きなテーマである。一人でも多くの新人医師が県内での臨床研修に加わってもらえるよう施策を充実をさせたい。