【11月1日付社説】合唱王国/70周年彩る快挙たたえたい

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 本県の中高生が今年も快挙を成し遂げ、「合唱王国ふくしま」70周年の節目を彩った。

 全日本合唱コンクールの中学校部門で郡山五が同声、混声両部門で文部科学大臣賞を受賞し、史上初となる4年連続の2部門日本一に輝いた。高校部門Bグループでは会津が全国2位となった。

 このほか中学校同声で若松四、同混声で郡山二、高校Bグループで郡山が金賞を獲得。中学校同声の二本松一、高校Bグループの安積黎明が銀賞を受賞。県勢の金賞は昨年より一つ多い六つ。出場全校が銀賞以上に入り、合唱王国ふくしまのレベルの高さを示した。

 いずれも日ごろの厳しい練習の成果を出し切った結果である。特に郡山五は2部門で「日本一」を継続するという重圧をはねのけてつかんだ栄誉だ。4年連続という未踏の記録をつくるための努力は並大抵ではなかったはずだ。

 県勢の強さの背景には脈々と受け継がれてきた合唱王国の歴史もある。1947年秋に始まった県合唱コンクールは今年で70回を数え、県合唱連盟も70周年の節目を迎えた。全日本合唱コンクールは今回が69回であり、本県の歴史の方が勝っている。

 コンクールを目指して努力を続けた生徒が成長して指導者になり、さらに次世代の生徒を育て上げる。70年にわたって積み重ねられてきた歴史の厚みが合唱王国の伝統を支えている。

 本県には他県にはない取り組みがあるのだという。強豪校同士が一緒に練習し、切磋琢磨(せっさたくま)し合うことで、生徒と指導者の両方のレベルを上げている。今後も互いに高め合いながら、さらなる演奏レベルの向上を目指してもらいたい。

 ただ課題もある。少子化の波は合唱界にも押し寄せている。学校によっては生徒数の減少などで部員数も減り、合唱団の編成も縮小を余儀なくされている。大編成を続ける他県の学校に対抗するためには、部員数の確保とともに、編成が小さくても質で上回る演奏技術が求められている。

 県合唱連盟は、今年の県合唱コンクールから小学校部門を新設した。全日本合唱コンクールでは2018年から小学校部門が設けられる予定で、本県が全国に先駆ける形となった。

 同連盟の菅野正美理事長は「福島県が日本合唱の聖地としてあり続けていくために次世代を育てたい」と話している。本県合唱界の裾野を広げ、合唱王国の灯を守り続ける取り組みは、震災から復興を目指す県民に勇気と希望をもたらすことにもつながるはずだ。