【11月2日付社説】いじめ過去最多/大切なのは解決への導きだ

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 いじめの兆候を見逃さないことがあらゆる対策の出発点になる。そのために何ができるか。改めて知恵を絞りたい。

 県内の小中高、特別支援学校が2015年度に把握したいじめは過去最多の1220件に上ることが文部科学省の問題行動調査で明らかになった。県教委は「認知基準を見直し、初期段階のものも積極的にいじめと捉えるようにしたため」と分析している。

 ささいないじめでも積極的に掘り起こそうという意識が学校現場に浸透してきた結果だと肯定的に受け止めたいが、件数が増えたという事実は重い。重要なのは把握したいじめをいかに解決に導くかであることを銘記したい。

 千人当たりのいじめ件数は5.8件で、全国で6番目に少なかった。全国最多だった京都府の90.6件と比べると16分の1程度だ。いじめを1件でも把握した学校は全体の4割強で、残り6割弱は件数がゼロと報告した。

 いじめが少ないことは良いことだが、ゼロと報告した学校でいじめを見過ごしたり、過小評価したりしたようなことはなかったか。国のいじめ防止対策協議会はいじめ防止対策推進法で定義されているいじめや被害の大きい「重大事態」の解釈に差があるとして具体例を示して明確化すべきとの提言を大筋でまとめたばかりだ。

 小さなもめごとでも、放置すれば子どもの心身に深刻な被害を及ぼす事態につながりかねない。学校や行政には、日常生活の中で丁寧に、継続して、いじめに向き合う地道な努力が求められる。

 調査では、いじめの現在の状況について9割近くが「解決済み」と報告された。ただ、「謝罪しただけで解消したと判断し、支援や見守りを終わらせてしまうケースがある」との指摘もある。教職員が解消したと思った後も被害に遭った子どもに寄り添い、きめ細かなフォローを続けることが大切だ。

 一方で、学校現場は学力向上対策などで忙しく、教員からは「子どもの様子をきめ細かく見守るためには、教員を増やすことが必要だ」との意見がある。推進法制定のきっかけとなった中2男子自殺があった大津市では各校に担任クラスを持たない「いじめ対策担当教員」が配置されている。そのような試みも参考にしたい。

 調査によると、県内では不登校の数が小中高ともに前年を上回っていることも分かった。いじめも不登校も、家庭と学校が子どもたちの声や行動に対する感度を高め、情報を共有し合うことが未然防止の第一歩となる。