【11月3日付社説】文化の日/芸術に親しみ人生を豊かに

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 「絵を描く楽しさを知ったことで、自分の人生に喜びと幸せを与えてくれた」。福島市の藤岡昭夫さんは、87歳になった今も絵筆を握り続けている。今年50回を迎えた同市民美術展に、ただ一人初回から出品を続けている。

 藤岡さんが日本画を描き始めたのは17歳の時。郵便局に勤めながら「冬人」の雅号で創作を続け、退職して公民館の日本画教室で講師も務めた。日本画彩心会名誉会長などにも就き、多くの同好の友と親交を深めている。描き始めから70年たっても創作意欲は旺盛だ。

 内閣府の2015年度の調査によると、普段から生涯学習に取り組んでいる人のうち美術や書道、舞踊などの芸術分野で活動した人は19%で、12年度の前回調査より7ポイント低下した。

 趣味が多様化していることなどが背景にあるだろうが、芸術活動に取り組んだ人たちの半数超からは「自分の人生が豊かになった」という実感が示されている。

 美しいものを鑑賞したり、実際に作ったりする体験は、生活に張り合いと潤いをもたらしてくれる。「芸術の秋」たけなわだ。きょうは「文化の日」でもある。芸術との出合いを求めて、出掛けてみてはどうだろうか。

 この季節は、さまざまな展覧会が開かれている。表現豊かな洋画を中心に展示する県美術協会展、味わい深い日本画の魅力を紹介する日本画創美展が開かれる。このほかにも県書道協会展や、県彫刻会展など幅広い種類の展覧会がめじろ押しだ。まずは、興味や関心を持てそうな展示会場に足を運んでみたい。

 アニメや現代アートなど「クールフクシマ」を体感できる催しもある。きょうからは県内12市町で「マジカル福島」と題したイベントが始まる。アニメ上映や音楽ライブなどを通し、現代社会を象徴する文化に触れることができる。三春町で開催中の「コナン展」もその一つだ。

 菊人形と巨大人形など、現代アートが共演する「福島ビエンナーレ」は二本松、福島両市で開かれている。

 遠出をしなくても、今の時期は身近な公民館などで文化祭や発表会が多く開かれている。会場を訪れてみれば、絵画や俳句など、さまざまな分野に親しむ人が大勢いることが分かるはずだ。出品作を見て刺激を受け、「自分もやってみたい」と感じたら、ぜひ教室やサークルに参加したい。仲間と共に好きな趣味を楽しむことが、日々を楽しく過ごす生きがいをつくることにつながる。