【11月4日付社説】風評・風化対策/責務果たし国際理解広げよ

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 県産品の輸出を一つでも多く増やすことが本県の復興を進める糧となる。そのためには官民挙げての風評・風化対策が欠かせない。

 JA会津よつばと会津坂下、会津美里両町が、原発事故で中断していた会津身不知(みしらず)柿の本格的な輸出を6年ぶりに再開した。

 身不知柿は2008年から10年までの3年間、タイなどに輸出され好評だった。原発事故で各国が輸入を規制したためストップしていたが、JAと2町が協議会をつくり再開への準備を進めていた。今年の輸出先はタイとマレーシアで、現地のデパートで販売する。

 本県を代表する秋の味覚の一つでありブランド品である身不知柿の輸出再開は、身不知柿の生産農家だけでなく、国内外で風評と闘っている県内農家の大きな励みになるはずだ。発送式で生産者が語った「(海外輸出で)国内でも安全・安心を理解してもらえれば」という願いをかなえたい。

 本県をはじめ日本の農林水産物や加工食品などは、原発事故後に設けられた放射性物質に関する基準に沿って、安全性が厳しくチェックされている。

 原発事故後にとられた各国の輸入規制は、事故直後の約50カ国・地域から徐々に減ってきており、その取り組みは理解されつつある。しかし、いまなお30カ国・地域が輸入規制を続けているというのが現実だ。

 だが、重くのしかかるのは根強く残る風評だけではない。

 先月訪米した内堀雅雄知事は帰国後の会見で、「福島に対して好意的な思いをもらっていると肌で実感してきた」とする一方で、現地記者クラブでの会見で海外メディアが不在だったことなども踏まえ、「風化の度合いは国内以上に世界で増していくと考えている」と進行する風化に懸念を示した。

 訪米に同行した本紙記者は同行記で「国際社会全体が本県に関心を抱き、理解を示しているかどうかは不透明だ」と書いている。原発事故から5年7カ月がたち、記憶の風化が進んでいる。その一方で本県に対する認識が変わらぬまま風評だけが残り続けている。その現実を直視し、新たな対策を講じていく必要がある。これらは県産品の輸出だけでなく、訪日外国人の来県にも影響を与えている。

 安倍晋三首相は「東京五輪・パラリンピックは東日本大震災の復興五輪として、見事に復興を成し遂げた姿を世界に発信したい」と国会で述べている。本県の復興を成すためには、風評払拭(ふっしょく)と風化防止が必須であり、そのための責務を果たすよう求めたい。