【11月12日付社説】五輪野球開催へ/復興加速の追い風にしよう

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 東京五輪野球・ソフトボール競技を本県で開催することは「復興五輪」の理念を具体化する取り組みだ。開催決定を追い風にして復興を加速させ、2020年には復興が着実に進んだ本県の姿を世界中の人々に見せることができるようにしたい。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会が、野球・ソフトの一部の試合を本県で開催することを決めた。12月の国際オリンピック委員会(IOC)の理事会で正式決定される見通しだ。

 会場は今後、組織委が県などと協議して決定する。これまでに福島、郡山、いわきの3市が名乗りを上げている。会場候補は県営あづま球場、開成山球場、いわきグリーンスタジアムだ。組織委はあづま球場を軸に調整している。

 開催に向けては、会場の施設改修が必要になる見通しだ。具体的には、球場の観客席の増設や、テロなどに対応するための警備施設の整備が想定される。また選手や応援する人たちの移動手段も考えなければならない。組織委は速やかに会場を決定し、県などと開催準備を本格化させたい。

 野球・ソフトは追加種目として3大会ぶりに復活する。それぞれ6チームが出場。主会場は横浜スタジアム(神奈川県)とする方針で、本県では両競技とも日本戦1試合を行う方向で検討している。

 10月に来日したIOCのバッハ会長は被災地での競技開催について「日本チームが参加する野球の最初の試合をすれば、パワフルなメッセージの発信につながる」と話している。東京五輪は、本県の復興の現状を全世界に発信するまたとない機会だ。

 しかし原発事故後に始まった県産農産物の輸入規制は今も30カ国・地域で継続され、風評は海外でも根強い。県は、五輪開催をメインにメディア向けの情報発信ツアーや復興イベントを行うなど、風評の払拭(ふっしょく)にさらに努めるべきだ。

 県内では、約20市町村が選手団の事前合宿誘致を目指している。これまでにいわき市でサモア、猪苗代町でガーナが合宿することが決まった。県と合宿の誘致を目指す市町村は、野球・ソフトの開催を弾みにして、さらに県内で合宿する選手団を増やしたい。

 20年は、震災から10年目の節目の年だ。県内では、20年を目標にする復興策が多い。東京電力福島第1原発の溶融燃料の取り出し開始や、本県を水素エネルギーの一大生産地にする取り組みなどだ。これらを復興のシンボルとするために、政府、東電は責任を持って目標を達成しなければならない。