【11月19日付社説】補助金不正受給/復興に水差す許し難い行為

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 東日本大震災と原発事故からの本県の経済再生に向けて企業に交付される県の補助金を巡る不正は復興に水を差す許し難い行為だ。

 不正は、県内に工場を新増設した企業などに交付する企業立地補助金と、中小企業の施設修繕費などに対するグループ補助金の二つの制度で相次ぎ発覚した。いずれも経費を水増しして、実際よりも多く補助金を受け取っていた。

 第一義的には不正をする企業に問題があるが、県も受給に関わる事務手続きの過程で不正を見抜くことはできなかったのはなぜか。総点検し、再発防止に取り組まなければならない。

 県によると、企業立地補助金の不正受給では、東京に本社を置く企業が、南相馬市に工場を新設した際、設備の購入費用を実際の費用より多く申請し、補助金約10億8000万円を受け取った。不正受給額はこのうち5億7000万円余りに上る。県は不正受給分の補助金の返還を命じるとともに、詐欺の疑いで県警に刑事告訴する方針だ。

 不正に得た補助金は、補助対象外の設備費用などに充てたという。工場が操業を開始したのは2014年3月で、同12月に県に不正受給に関する情報提供があり、調査を進めていた。情報提供から2年近くたつ。この間の県の調査の在り方も問われよう。

 企業立地補助金は、12年の創設からこれまでに計9回にわたって県内外の企業から補助の申請を受け付けた。交付した補助金は昨年末までだけでも約340件、約1300億円に上る。

 全国トップ級の補助率と補助額が売り物で、創設当初は申請企業が殺到したことでも、企業にとって魅力のある補助金だったことが分かる。それだけに企業だけが潤うような使われ方ではなく、職を求める住民や立地地域の復興に確実に生かされなければならない。

 グループ補助金を不正受給した郡山市の食品加工会社2社(いずれも破産手続き中)は、工場の修繕などを目的に申請し合わせて約8400万円を不正に受け取った。

県によると、この補助金の確認作業は、企業が提出する実績報告を書面で審査するだけだった。申請件数が11年度から先月までで5890件と多かったことを踏まえても、事務手続きに甘さがあったと言わざるを得ない。

 両補助金とも財源は、国民に税負担を求めた復興財源を活用している。企業側が適正利用を求められるのは当然だが、県も本県の復興は国民に支えられていることを改めて認識し、補助金の適正な執行に尽くしてもらいたい。