【11月22日付社説】長時間労働の是正/意識変えねば前に進まない

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 長時間労働が当然だと思うような考え方を、みんなが捨て去らなければ前に進まない。

 厚生労働省の勤労統計調査によると、県内の昨年1年間の総労働時間は全国平均を153時間上回る1887時間だった。しかも他の都道府県と比べることができる昨年3月の月総労働時間は全国最長というのが本県の実情だ。

 背景には、東日本大震災と原発事故からの復興関連業務の増加や住民避難による人手不足などがある。特に人手不足が著しい介護や医療などの現場で、長時間労働が深刻化しているケースがみられる。小売業や飲食サービス業などのパート従業員の労働時間が長い傾向にあるのも特徴だ。

 復興需要はピークを越えたとみられるが、本県の労働時間は全国平均を大幅に上回る状況が震災前から続いている。さらに全国平均が2012年以降、減少傾向にある中、本県は増え続け、その差が拡大しているという事実をしっかり受け止めなければならない。

 長時間労働が度を超せば、疲労やストレスによって脳・心臓疾患を起こして突然死したり、勤務問題で精神疾患になり自殺にまで追い込まれるケースもある。心身がむしばまれるだけではない。仕事でもミスが出たり、能率が上がらなかったりする。長時間労働は、労使ともにデメリットを伴うことを再認識しなければならない。

 安倍晋三内閣は「1億総活躍社会」の実現を目指して「働き方改革」に取り組んでおり、来年3月をめどに実行計画をまとめる手はずだ。長時間労働の是正は、最大の課題であり、残業時間の上限設定なども検討されている。

 慢性的に働き手が不足しているような業種は長時間労働の規制には反対かもしれない。労働者側も残業手当がないと十分な暮らしができないという意見もあるだろう。消費者にとってもいつでも開いている店は魅力的だ。長時間労働は、それぞれの損得が相まって慣行として続いてきたのだ。

 しかし長時間労働の是正は、育児や介護と仕事を両立、女性の社会進出や出生率の改善と深く関わっている。少子高齢化とそれに伴う労働力不足に対応しながら、課題を解決していくためには適正な労働時間の実現が欠かせない。

 法律を厳しくしても、慣行を変えるための意識改革が伴わなければ、サービス残業の増加などで規制が有名無実化する恐れもある。経営者と労働者、さらには消費者が長時間労働の解消へ何ができるか。それぞれの立場で慣行を打ち破るために知恵を絞りたい。