【11月24日付社説】受動喫煙防止/五輪へ空気もきれいな県に

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、受動喫煙対策を世界レベルに引き上げたい。

 政府は、他人のたばこの煙を吸わされる「受動喫煙」の防止対策を強化する方針だ。

 日本は公共の場の喫煙規制が最も遅れている国の一つだ。受動喫煙の健康被害に対する知識を共有し、屋内の全面禁煙の範囲をできるだけ広げていきたい。

 厚生労働省は先月、受動喫煙の防止対策として、学校や病院などは「敷地内全面禁煙」、官公庁などは「建物内禁煙」、飲食店やオフィスなどは「原則禁煙」とする基本案をまとめた。悪質な違反者には罰則を科す。業界団体などから意見を聞いた上で、新たな法案の国会提出を目指す計画だ。

 世界保健機関(WHO)によると、公共の場を法律で全面禁煙としている国は49カ国に上るが、日本は罰則付きの法的規制がないため、受動喫煙の防止対策は「世界最低レベル」と判定されている。

 国際オリンピック委員会(IOC)はWHOとともに、五輪開催地・開催予定地で「たばこのない五輪」を推進している。このため近年の五輪は屋内の全面禁煙を実施している国で行われることが慣例となっている。厚労省が強化策を打ち出したのは当然のことだ。

 受動喫煙が健康に有害なことは言うまでもない。国立がん研究センターの分析によると、受動喫煙により肺がんのリスクは約1・3倍に高まる。小児ぜんそくなど子どもの健康被害にも因果関係があるとされる。

 厚労省推計では、日本で受動喫煙による死亡者は年間約1万5000人に達する。これは昨年の交通事故死者の3倍以上に当たる。遅まきながら政府が受動喫煙防止の方向性を示したことを歓迎したい。

 県内での受動喫煙対策としては県北保健福祉事務所が全面禁煙の飲食店などを対象に08年から取り組む「空気のきれいなお店」認証制度がある。県は近く、この制度を「空気のきれいな施設」認証制度に改称。対象を公共施設などにも広げた上で、全県的運動としてスタートさせる考えだ。

 本県は東京五輪で、野球・ソフトボール競技が行われる。五輪開催地として、たばこのない五輪という責務を課されていることを好機として捉え、受動喫煙防止の機運を高めていきたい。

 喫煙は個人の嗜好(しこう)ではあるが、吸わない人の健康まで害するようなことがあってはならない。規制強化には反対意見もあるが、国民の健康を最優先に議論を深め、理解を得ることが重要だ。