【11月27日付社説】大型施設の耐震化/対策急ぎ倒壊リスク解消を

(数字はいいね)  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 大型施設が地震で倒壊すれば、多くの利用者が巻き込まれる可能性が高い。施設の耐震化を急ぎ、早期に倒壊リスクを解消したい。

 改正耐震改修促進法に基づき、耐震診断が義務付けられた県内の学校や病院、ホテルなどの大型施設計113施設のうち、19施設が震度6強以上の地震で倒壊や崩壊の危険性が高いと判定された。

 耐震改修などの対策を実施した施設の割合は6割にとどまる。県内では、大型施設以外の耐震化も全国に比べ遅れている。官民を挙げて耐震対策に努めなければならない。

 耐震診断の対象は、不特定多数の人や、避難が困難な児童や高齢者が利用する施設などのうち、1981年以前に建てられた3階建て以上など一定規模の建物。県と福島、郡山、いわきの3市が昨年12月までの診断結果を公表した。

 診断結果によると、倒壊の危険性が高い19施設のほか、25施設が倒壊の恐れがあると判定され、合わせて44施設が、震度6強以上の地震に対する安全性を満たしていないとされた。ただ、震度5強程度では倒壊の恐れはないという。

 このうち小中学校の校舎や体育館などは13施設あった。学校は、子どもたちの学びの場としてだけではなく、災害時には避難所となる。倒壊による被害はもちろん、万一の時に使えないということがあってはならない。県や市町村は公共施設の耐震化を最優先課題として捉え、対策を講じるべきだ。

 一方、民間の25施設が倒壊の危険性があったり、高かったりすると判定された。これらは病院が9施設、旅館・ホテルが8施設、デパートが2施設などだ。民間施設の耐震化も急務である。

 県によると、対策が必要な民間施設の多くが建て替えなどを検討している。しかし高額になる改修費の捻出や耐震化の手法などに悩む施設の所有者もおり、耐震化は進んでいないのが現状だ。

 民間施設の耐震促進に向けては国、県、市町村が改修費などを補助するほか、県が独自に中小企業者向けに低利融資制度を設けている。しかし所有者が工事費の6割近くを負担する必要があることや周知不足などから、制度を活用する所有者は少ない。県には支援策を周知し、所有者に早期の耐震対策の実施に促すことを求めたい。

 震災から5年以上が過ぎた中で先日、本県沖を震源にするマグニチュード7・4の地震が起きた。地震の専門家は余震が数十年規模で続く例があるとする。県と市町村は大規模地震への備えが欠かせないことを改めて認識すべきだ。