【12月4日付社説】子どもの貧困/今できることから始めたい

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 全ての子どもたちが健やかに育っていけるよう、私たち一人一人がいまできることを考えたい。

 日本の子どもの6人に1人が貧困に直面しているといわれる。この数字にうなずくことができる人はどれくらいいるだろうか。

 郡山市で開かれた「『子どもの貧困』を知る講演会」で、貧困問題を研究する湯浅誠さん(法政大教授)が来場者に挙手を求めた結果、「そんなにはいないと思う」が約6割を占めた。湯浅さんは「以前は8割に上った講演会もあった。外から見えにくいというのが、子どもの貧困の大きな特徴だ」と指摘する。

 学校では、みんなと同じように見える子どもでも、家に帰ると食事に困っていたり、暖房器具がなかったりというケースがある。進学や部活動を諦め、生活のためアルバイトをする生徒もいる。

 外見からは分かりにくいが、実情は深刻だ。行政や学校はもちろん、地域にいる身近な人たちが、助けを必要としている子どもたちの存在に気付き、支援の手を差し伸べることが必要だ。

 貧困家庭の子どもに食事を提供したり、ボランティアが勉強を教えたりする「子ども食堂」は、県内でも徐々に広がりつつある。子どもたちは一緒に食事をしたり、話し相手になってくれたりする大人がいるだけでも安心するという。湯浅さんは、ボランティアとして関わる人が増えれば増えるほど、地域のセーフティーネットの目が細かくなると説明する。

 会津若松市で子ども食堂を運営するNPO法人寺子屋方丈舎理事長の江川和弥さんは、子ども食堂のニーズはかなり高いと考える。子ども食堂の多くは民間団体による草の根活動だ。運営上の課題について江川さんは講演会で、「賛同者をどう増やすかだ」と述べた。子ども食堂の持続的な運営には、より多くの人々の理解と協力が欠かせない。

 県はいま、貧困家庭の実態を調べている。調査結果をもとに、市町村や学校、NPOなど関係機関でネットワークをつくり、対策を強化する考えだ。子どもたちが何に困り、どのような支援を必要としているのかを詳しく分析し、適切な支援につなげる体制を築かなければならない。

 子どもの貧困は見えにくい問題だが、普段から近所の子どもたちに声を掛けたり、見守っていたりしていれば、子どもたちが抱えている問題に気付くことができるはずだ。まずは、周りにいる子どもたちに優しく温かいまなざしを向けることから始めたい。