【12月7日付社説】第1原発冷却停止/あまりにお粗末ではないか

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 あまりにお粗末ではないか。

 東京電力福島第1原発で、3号機原子炉の溶融燃料を冷やすための「注水」と、1~3号機の使用済み核燃料プールの「冷却」が、相次いで一時停止した。

 いずれも作業員や社員のミスに起因するトラブルだ。第1原発における注水と冷却は、廃炉の要である。東電はあらゆる可能性を想定した安全対策を再構築し、徹底すべきだ。

 東電によると、3号機の注水停止は、注水ポンプのスイッチを覆う保護カバーに作業員の左肘が触れたことでプラスチック製のカバーが壊れ、スイッチレバーが動いたのが原因という。作業員は、狭い通路で人をよけようとしてよろけた弾みでカバーに接触した。

 また1~3号機にある使用済み核燃料プールの冷却停止は、巡視中の社員が配管の空気抜き用の弁に触れ、通常は閉まっている弁を開けてしまったのが始まりだ。弁付近の配管から水が漏れ、冷却水を冷やす設備のポンプの水圧が低下したため手動で停止させた。

 3号機の注水再開に要した時間は約1時間、1~3号機の使用済み核燃料プールの冷却は再開まで約6時間半かかった。相次ぐトラブルを受けて県が、予備設備の速やかな起動と、人為的ミスの再発防止を求めたのは当然だ。

 県は対策内容について東電に報告を求めている。対策を点検し、実効性のある対策が確実に履行されるかどうか確認すべきだ。

 原発事故の発生から間もなく6回目の正月を迎えようとしているが、県民にとって事故の記憶はいまだ鮮明だ。あのとき第1原発は全電源が喪失して注水と冷却ができなくなり核燃料が溶け出した。そして1、3、4号機で水素爆発が起きた。

 注水と冷却が重要なことは事故の当事者である東電が一番分かっているはずだ。なのに肝心要の部分でトラブルが相次ぐということはどういうことなのか。設備の安全対策が多重になっているとしても、県民感情を考えればもっとトラブルに敏感になるべきだ。

 原発で起きるトラブルは住民を不安にし、県内外に避難する住民ら約8万4千人の帰還に影響を及ぼしかねない。賢明に風評と闘う人々の苦労を無にし、風評被害を広げる可能性をはらむ。トラブルは本県復興の行方を左右することを認識しなければならない。

 東電と県民との間に「安全」についての認識のズレはないか。東電は点検、検証し、ズレがあるのだとすれば、一刻も早く修正しなければならない。