【12月9日付社説】高病原性鳥インフル/防疫と監視強め拡大防止を

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 福島市の住宅地で見つかったオオハクチョウの死骸について、環境省と県は8日、毒性の強い高病原性の鳥インフルエンザウイルス(H5N6亜型)が検出されたと発表した。

 万一、野鳥から家禽(かきん)農場のニワトリなどに感染するような事態になれば、地域の畜産業などが受ける被害は計り知れない。野鳥の監視を強めるとともに、農場での防疫体制を強化する必要がある。

 県は8日、知事を本部長とする対策本部会議を開き、野鳥の監視体制や家禽農場での感染防止対策などを確認した。鳥インフルエンザに関わる部署は3部にわたる。市町村や養鶏業者ら民間業者を含めて連携を強めるとともに、情報共有に努め鳥インフルエンザが拡大しないよう全力を尽くしたい。

 鳥インフルエンザは、A型インフルエンザウイルスによる鳥の病気で、高病原性に感染すると多くが死ぬ。県内では2011年1月から2月にかけて、郡山市と福島市で野鳥が高病原性鳥インフルエンザに感染したが、家禽への感染は食い止めた。

 今冬は国内各地で高病原性鳥インフルエンザの感染が確認されており、政府は警戒レベルを最高の「3」に引き上げるなどして監視体制を敷いてきた。8日午後8時30分現在、本県を含めて10道県37羽が高病原性と確認されている。これまで最多の60羽が感染した10~11年に迫る勢いだ。

 感染は野鳥などを介して拡大する。新潟県の養鶏場では鶏舎の金網が破損していたという。事業者は野鳥などの侵入を防ぐ網の設置や点検、ネズミなどによるウイルスの移動を防ぐための消毒用石灰の散布などを徹底してほしい。

 県はオオハクチョウから高病原性鳥インフルエンザを確認したことを受けて監視範囲をオオハクチョウ飛来地を中心に拡大する。高病原性に感染した鳥の発見場所に近い福島市のあぶくま親水公園では野鳥のふんの緊急調査も行う。

 親水公園はじめハクチョウ飛来地はこのシーズン、ハクチョウやカモを観察するため、週末を中心に親子連れらが大勢訪れる。餌やりで野鳥に近づいたり、ふんを踏んだりしないよう呼び掛ける広報活動をきめ細かく実施したい。

 厚生労働省は、人が鳥インフルエンザに感染するのは極めてまれだとしている。このため極端に恐れる必要はないが、死んだ鳥を見つけたら、近づいたり触ったりせず、行政機関に届けることが肝心だ。鳥インフルエンザの拡大を防ぐためには、県民の冷静な対応と協力が欠かせない。