【12月13日付社説】県産品の風評対策/「継続」「強化」で固定化防げ

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 本県の農林水産業が再生を果たすためには東京電力福島第1原発事故による風評の払拭(ふっしょく)が欠かせない。政府は2017年度予算で確実に財源を確保し、風評被害対策を強化しなければならない。

 政府の「福島県産農林水産物風評対策特別事業」を巡って、農林水産省が、17年度に重点的に取り組む事業概要を明らかにした。

 県産農産物の価格は原発事故後、市場での評価が回復せず苦戦が続く。この状況について生産者らからは「売れないのではなく、安く買いたたかれている」「業務用に流通させる仕組みができつつある」などの声が上がっている。

 流通段階で県産農産物の風評が固定化されて取引されているようなことがあるのだとすれば、早急に是正に向けて手を打たなければならない。農水省は実態調査に乗り出す方針だが、むしろ遅いくらいだ。早期に調査に取り組み、対策を講じる必要がある。

 生産者が自ら生産した農産物を、消費者や食品事業者らに選択してもらうためには、生産段階での安全性や品質を、第三者が認証する制度「GAP」(農業生産工程管理)を取得することも有効な手段となる。

 政府は認証の取得を提唱しているが、費用が高額であることなどから取得が進んでいない。認証の取得は訪日外国人のニーズや東京五輪・パラリンピックの食材調達にこたえる面でもポイントとなる。農水省は取得経費の支援事業を盛り込む方針であり、県産品の安全性をアピールするために認証を取得する生産者を増やしたい。

 対策の強化とともに、予算確保が欠かせないのが、農林水産物の安全と安心を担保するためのモニタリング経費の確保だ。コメの全量全袋検査と、コメ以外の県産食品の放射性物質検査はこれまで、主に健康管理のための県の基金を活用して行ってきたが、財源は本年度末で底を突く見通しだ。

 検査は、県産食品の安全性を証明する根拠となるものであり、検査の継続は風評払拭に向けた大前提でもある。新たな財源確保策をしっかりと講じ、次年度以降へのレールを敷くことが肝要だ。

 消費者庁が8月に行った風評被害に関する消費者意識の第8回調査では、食品購入をためらう産地として「福島県」と答えたのが16・6%あった。第5回以降16%前後で推移しているが、2月の前回調査と比べ0.9ポイント増加した。

 生産と流通に関わる対策とともに、消費者対策などを総合的に講じて、風評の固定化を食い止めなければならない。