【12月15日付社説】臨時国会会期末/将来への責任を持てるのか

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 不十分な議論と課題の本質的な解決にならない修正の揚げ句に重要な法整備が進む―。こんな審議で国会はその立法による今後の事態に責任を持てるのか。将来に禍根を残す臨時国会となった。

 延長国会の最大の焦点となったカジノを中心とする統合型リゾー卜施設(IR)整備推進法案は、参院で修正可決された上で衆院に回付。成立することとなり、支給額の抑制を柱とする年金制度改革法も国会を通った。

 カジノ法案は厳しく批判していた民進党が小幅修正で参院での採決を受け入れた。民進党は安倍晋三内閣の問責決議案などを提出したが、与党が多数を占め、再延長も可能な臨時国会では成立までの時間稼ぎにしかならない。

 強引な政権与党と、腰が定まらない民進党。いずれの対応も国民の国会不信を深めるだけだろう。国権の最高機関の責務を厳しく再考すべきだ。

 カジノ法案は、大型会議場やホテルなどが一体となったIRの整備推進を政府に促す内容だ。政府は施行1年以内をめどに必要な法整備を進める。
 不可解なのは民進党の対応だ。ギャンブル依存症の増加や治安悪化の恐れなど数々の問題点が指摘され、蓮舫代表は党首討論で「国家の品格を欠く」とまで批判した。

 ところが参院では自民、民進両党の折衝の結果、法律に「ギャンブル依存症」の文言を明記することと、施行後5年以内に「必要な見直しを行う」との規定を盛り込む修正で委員会採決に応じた。その一方で採決では修正案に反対し問責決議案などを提出した。ちぐはぐな対応と言うしかない。

 修正したとしてもカジノが解禁される事態に何も変わりはない。採決を容認したのはどのような理由だったのか。国民の理解が得られるような説明はない。

 カジノ法案は自民党や日本維新の会が推進した。参院では参考人質疑を行ったが、衆院の委員会審議は約6時間にすぎない。推進派議員は「超党派で法案作成まで十分議論した」と主張するが、国会での開かれた議論が重要だ。また推進派は経済成長戦略だと強調するが収益減で失敗した外国の事例もある。その研究も不十分だ。

 年金制度改革法も、将来の年金水準確保のためには支給額抑制が必要だとする政府、与党に対し、野党は支給額抑制に焦点を当て「年金カット法案」と批判、建設的な議論にならなかった。年金制度が安定して維持されるのか。将来不安を解消する議論こそが求められた。与野党ともに反省すべきだ。