【12月16日付社説】国際医療センター/機能発揮し復興支える力に

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 医療面から本県の復興を支えていく拠点として、機能を十分に発揮させてほしい。

 東日本大震災と原発事故を受けて、福島医大が整備していた「ふくしま国際医療科学センター」が全面稼働した。

 センターは、長期にわたる県民の健康状態の支援や、最先端の設備を使った治療、薬や医療機器の開発支援などを担う。県民が将来にわたって、心身ともに健康な生活を送っていくために医療のさらなる充実を図っていきたい。

 同医大は、敷地内にセンターを構成する4施設を建設。今週、最後となる「ふくしまいのちと未来のメディカルセンター棟(みらい棟)」が完成した。医療と企業の橋渡しに活用する「災害医学・医療産業棟」、がんなどの早期診断を行う「先端臨床研究センター棟」、環境中の放射性物質の調査・研究をする「環境動態解析センター棟」はすでに稼働している。

 みらい棟は、県民に身近な施設だ。同施設には、15歳未満の子どもの重症患者に対応する小児特定集中治療室を県内で初めて設置。さらに母体や新生児を診る総合周産期母子医療センターを医大付属病院から移し、新生児集中治療室を増床するなど充実を図った。

 子どもを安心して産み育てられる環境を整えることは、少子化対策の側面からも重要だ。施設と併せて医師や看護師などスタッフの充実も図り、患者のニーズに幅広く応える体制をつくりたい。

 原発事故から5年9カ月過ぎたいまも、放射線に対する県民の不安は残る。センターは、原発事故の健康影響を調べる県民健康調査や、県民からの相談も担う。県民が安心して暮らしていくための土台となる事業だ。病気の予防・早期発見や、調査データの有効活用につなげていく必要がある。

 災害医療や緊急被ばく医療、県民健康調査など、これまでの取り組みの成果を世界に発信していくのもセンターの役割だ。国内外の医療、放射線研究の関係機関と緊密に連携し、今後起こりうる災害での被害軽減に役立てたい。

 最先端の設備を有効に活用するためには、高度な技術と知識を持った人材の育成・確保にも力を入れる必要がある。講座の充実などを通し、地域に根ざした医療従事者を育てていくことが重要だ。

 県内では震災後から、子どもの肥満傾向が顕著となり、大人もメタボリックシンドロームに該当した人の割合が増えている。センターには、生活習慣病の予防など県民の健康増進に向けたあらゆる取り組みが求められている。