【12月20日付社説】部活動での暴力/いかなる理由でも許されぬ

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 児童や生徒を追い詰めるような暴力や暴言は、いかなる理由があっても許されない。

 郡山市の日大東北高で、相撲部の男性顧問らが、部員の男子生徒をデッキブラシなどを使って暴行し、けがを負わせていたことが分かった。生徒は7月に転校した。同校は顧問の処分を行っておらず県に報告もしていなかった。県は同校に事実関係の報告を求め再発防止など対応を促す方針だ。

 同校のホームページによると、相撲部は全国高校総体に14回出場している強豪。学校側によると顧問は「生徒を強くしたかった」などと話しているとされる。同校は「行き過ぎた指導」と認識しているというが、「指導」と称する暴力行為などあってはならない。

 教育現場では長年にわたり体罰が問題になってきた。体罰という言葉は教育的な語感をもつが、暴力にほかならない。学校教育法で明確に禁止されている。人格形成のための大事な時期の子どもたちに痛手を与え、心をゆがめてしまう恐れを十分に理解し、学校現場から根絶しなければならない。

 2013年1月には大阪市立桜宮高の男子バスケットボール部の主将が、顧問の男性教諭から顔を殴るなどされ自殺した事件が発覚。大阪地裁は暴行と傷害の罪で顧問に懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡している。

 この事件を受けて、文部科学省が体罰の有無を確認する調査の徹底を図るなど対策を講じたが、いまだになくならない。県教委によると15年度は、県内の公立学校の部活動で2件の体罰があった。同年度までの10年間をみると年平均2.7件発生している。

 部活動やスポーツ指導の現場では体罰に寛容な意識が根強いとの指摘がある。「勝利」という目的を達成するために、暴力行為を容認するような意識があるのだとすれば、誰にも理解が得られないことを認識し、根底から意識を変える必要がある。それは現場の教員や指導者だけでなく、学校や社会にも求められることだ。

 元巨人軍投手の桑田真澄さんは「体罰は指導者の勉強不足による、いちばん安易な指導方法で、チームや選手は本当の意味では決して強くならない」とかつてテレビのインタビューで語っている。

 生徒の実力を高めるために必要なことは、生徒が力を十分に発揮できる環境と、やる気を起こさせる雰囲気をつくることだ。部活動も教育の一環であることをあらためて認識し、生徒を責めるのではなく、自らの指導の在り方を見直すことから始めたい。