【12月24日付社説】本県開催決定越年/名実共に「復興五輪」実現を

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 名実共にたがわぬ「復興五輪」とするために2020年東京五輪での野球・ソフトボール競技の本県開催を実現したい。

 同競技の本県開催にブレーキがかかっている。本県での開催について国際オリンピック委員会(IOC)は今月上旬の理事会で正式決定する予定だったが、大会組織委員会(森喜朗会長)が本県開催の提案を見送った。

 復興五輪は、東日本大震災と原発事故からの復興への歩みを世界に発信するものだ。組織委はその意義を踏まえて本県開催をIOCに確実に提案し、正式決定の道筋をつけてもらいたい。

 IOCへの提案が見送られたのは、会場の絞り込みが難航しているためだ。組織委と、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)との間で、会場の評価に食い違いが生じたことなどが要因とされる。

 組織委は、受け入れ態勢や選手の移動のしやすさなど大会運営面から、福島市の県営あづま球場を有力と捉える。一方で、WBSCは国際大会の実績など球場の設備面からいわき市のいわきグリーンスタジアムを及第点とした。

 会場選定は、組織委がWBSCの意向を踏まえて決定することになっている。組織委は、主導権を発揮しつつ、WBSCの意見に耳を傾けながら、早期決定へ調整を急いでもらいたい。

 安倍晋三首相は14年9月の所信表明演説で「東京五輪は何としても『復興五輪』とし、日本が新しく生まれ変わるきっかけにしなければならない」と述べた。政府が15年に閣議決定した大会準備基本方針では、被災地と連携して復興五輪を目指す姿勢も示している。

 そもそも野球・ソフトの本県開催は、政府が復興五輪の理念を具体化するため打ち出したものだ。10月に来日したIOCのバッハ会長も「日本チームの最初の試合を被災地でやれば、パワフルなメッセージの発信につながる」と語っている。政府は本県開催に向けて前面に立って取り組むべきだ。

 本県はいまも、原発事故による風評が国内外に根強く残る。農産物の輸入規制を続ける国・地域は30に及ぶ。本県開催によって大勢の外国人が訪れ、復興状況を見たり、県民と交流したりすれば、本県に対する誤解や偏見の解消が進むだろう。

 東京五輪が開催される20年は震災から10年目の節目でもある。五輪競技の開催は、県民に夢や勇気を与え、復興を加速させるための力になる。県は、自治体や関係団体と共に本県開催に向けて、誘致活動を一層強めるべきだ。