【12月25日付社説】子どもの読解力/暮らしの中で伸ばす環境を

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 文章を正しく読み解く能力である「読解力」は、全ての学力の基盤となる。学校の授業だけではなく、日々の暮らしの中で、子どもたちの読解力を養っていくことが大切だ。

 経済協力開発機構(OECD)が72カ国・地域の15歳を対象に行った2015年の「生徒の学習到達度調査」(PISA)の結果を発表した。日本の高校1年生は科学的応用力が2位、数学的応用力で5位と、前回12年調査より順位を上げ、トップクラスを維持した。

 しかし読解力は、前回の4位から8位となり、平均得点は22点も低下した。文部科学省はその一因として、本や新聞を読む機会が減少し、長い文章に触れることが少なくなったことを挙げている。

 子どもたちにスマートフォンやパソコンの普及が進んだことも関係しているとみられる。教育の専門家からは、メールなど短文でのやりとりが増えたため、難しい文章を読み解いたり、自分の言葉で的確に表現したりすることが苦手になっているという指摘がある。

 若者の活字離れも進んでいる。県高校司書研修会の調べによると、県内の高校生の半数以上が月に1冊も本を読んでいない。文科省の調査では、新聞をほとんど、または全く読まない中学生の割合は13年度に約55%だったのが、16年度は約64%にまで増えている。

 一方で新聞や本をよく読む子どもほど学力が高い傾向にあるということは文科省の全国学力テストの分析結果でも分かっている。学力を伸ばすためにも、身近にある新聞や本を活用しない手はない。

 ジャーナリストの池上彰さんは著書で「本と新聞は読解力を育てる車の両輪」と書いている。小説など本では行間を読む力が養われ、新聞では文章を論理的に正しく理解する力が付くと解説している。

 クリスマスプレゼントに本をもらった子どもも多いだろう。冬休みを活用して、じっくりと本に向き合う時間を持ってもらいたい。家族がそろう年末年始のひととき、みんなで新聞を読み、記事について感想を話し合うのもいいだろう。子どもたちが日常的に文章に親しむ機会が増えれば、より多くの言葉が自然と身に付いて、読解力や表現力が鍛えられるはずだ。

 小野町は昨年、「図書・新聞に親しむ条例」を制定した。図書館で閲覧できる新聞を増やしたり、100冊の本を読破した人に記念品を贈る「読書マラソン」などを行い、町民の読書や新聞活用を推進している。「図書・新聞に親しむ月間」も設けた。こうした地域ぐるみの取り組みも広げていきたい。