【11月27日付社説】安倍内閣4年/復興と創生にもっと注力を

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 安倍晋三首相が第2次内閣で政権に返り咲いて丸4年がたった。

 2006年9月からわずか1年で幕を閉じた第1次内閣の教訓を生かし政権運営は安定している。「戦後レジームからの脱却」という政治色の濃い目標を掲げて、憲法改正などの課題に前のめりだった姿勢も転換、国民生活に直結した経済の再生を前面に押し出し、世論の高い支持も得ている。

 その結果、自民、公明両党は政権を取り戻した12年の衆院選以後、今夏の参院選まで四つの国政選挙全てに大勝。衆院で改憲に必要な定数の3分の2を維持し、参院では過半数を制して「ねじれ」を解消した上、日本維新の会などを加えた改憲勢力で定数の3分の2を確保した。

 まさに「1強」状態だが、政権や政府の硬直化が指摘される。このままいけば安倍内閣は18年9月まで継続が確実で、総裁任期の延長が事実上決まっていることからさらに21年9月まで続く可能性もある。政権の硬直化は、国民から遊離した政治を招きかねない。異論にも積極的に耳を傾ける度量を持つべきだ。

 硬直化が著しいのは安倍首相の足元の自民党だ。15年9月の総裁選には対抗馬が現れず、あっさりと安倍首相の総裁無投票再選が決まった。いまは安倍首相に一線を画する勢力は皆無に近くなった。

 安倍首相は14年と今年の2度、消費税率の10%への再引き上げを先送りしているが、閣内や与党内で活発な議論が行われることはほとんどなかった。

 参院で自民党が単独過半数を回復したことも影響している。臨時国会で成立した統合型リゾート施設整備推進法を巡っては公明党が自主投票とし、山口那津男代表らが反対する中、採決された。自民党の行き過ぎに待ったをかける公明党の役割が低下したことをうかがわせた。野党の日本維新の会が官邸に協力する姿勢を強めていることがその傾向を加速させている。

 安倍首相は経済再生を最優先課題に掲げて、「地方創生」や「1億総活躍社会」などを打ち出してきたが、地方や中小企業まで行き渡っていない。株価こそ「トランプ効果」もあって回復したが、年明け後の先行きは不透明で、好循環への道筋は道半ばだ。

 東日本大震災と原発事故から6度目の正月を迎えるが、風評払拭(ふっしょく)など国が取り組まなければ解決できないことが山積みだ。一方、関係する国会議員や官庁以外では震災の風化が進んでいるとの指摘もある。政権の強みを復興と地方創生にもっと生かしてもらいたい。