【12月28日付社説】只見線復旧へ/利活用と両輪で地域振興を

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 鉄道復旧かバス転換か。賛否のある中での決定だ。只見線を地方創生に役立てるためには復旧させるだけでなく、実効性のある利活用策を打ち出すことが不可欠だ。

 2011年7月の新潟・福島豪雨で一部区間が不通になっているJR只見線の復旧について、県と沿線自治体でつくる検討会が鉄道で存続させる方針を決めた。

 県と沿線7市町が鉄道の施設と土地を保有し、JR東日本が車両を運行する「上下分離」方式を採用する。本年度中にJR東に復旧を要請する。運行再開は早くても20年度になる見通しだ。JRが既存の在来線で同方式を導入するのは初めてという。

 県と沿線自治体は「地方創生の起爆剤にする」(鈴木正晃副知事)ために、財政負担が多い鉄路の復旧を選んだ。であれば只見線の全線復旧を、地域活性化のけん引役として最大限生かす必要がある。

 不通区間は会津川口(金山町)―只見(只見町)間の27.6キロ。流失した鉄橋などの復旧費として81億円が必要だ。このうち3分の1をJR東が負担し、残る54億円を地元が負担する。ただ県と会津17市町村が積み立てた基金21億円があり、これを差し引くと新たな負担は33億円になる。県は新たな負担のうち大半を負担する考えだ。

 復旧方針は決まったが課題は多い。運行が始まれば県と会津17市町村は線路の保守などで年間2億1千万円を負担する。しかし会津地域は人口減少や高齢化が県内の中でも進んでいる。このため住民には賛成意見がある一方で「次世代に負担をかけるべきでない」など懸念の声が上がる。県や自治体は復旧方針について県民や住民に十分に説明し理解を得てほしい。

 自民党は、大規模災害で被災したローカル線への復旧補助制度を拡充する鉄道軌道整備法改正案の来年の通常国会への提出を目指している。赤字の鉄道会社に限る支援をJR東などの黒字会社にも広げる内容だ。成立すれば只見線にも適用される。各党の賛同を求め確実に成立させることが重要だ。

 県、沿線自治体は年明けにも、有識者らを交えたプロジェクトチームを設立し、1年間をかけて只見線の利活用計画をまとめる。只見線は紅葉や雪景色の景観に人気がある路線だが、年間を通した利用に課題がある。単なるツアーの開発や只見線と連動した地域イベントにとどまらず、映画やテレビ番組のロケ地として売り出すなど知恵を絞ることが大切だ。利活用策はできるものから前倒しで進めるなど、過疎地域ににぎわいを取り戻す有効策を講じたい。