【12月29日付社説】ノロウイルス猛威/こまめな手洗いで歯止めを

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 ノロウイルスが猛威を振るっている。手洗いを徹底して感染に歯止めをかけたい。

 ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の全国の患者数は、18日までの1週間で、1医療機関当たり20・89人となり、大流行した2012年(19・23人)を上回った。過去10年との比較では患者が最も多かった06年に次ぐ水準だ。

 本県もこの週は21・67人となり警報レベルの20人を突破。県がきのう発表した翌週(19~25日)も16・72人で依然として高水準にある。この週はインフルエンザも注意報レベル(10人)を超えた。年末年始の休みに入るが、体調の変化には十分注意したい。

 ノロウイルスは冬に多発する食中毒で、春先にかけて発症者が多い。感染力が強く、感染すると24~48時間の潜伏期間の後、激しい嘔吐(おうと)や下痢を繰り返す。症状が続くのは数時間から数日間と短いが、特効薬はなく、治療は対症療法になる。この間、水分や栄養の補給が欠かせない。

 ノロウイルスは患者の嘔吐物や便などを介して広がる。軽い症状で回復することが多いが、子どもや高齢者は重症化したり、嘔吐物を詰まらせて死亡することがある。注意して経過を観察したい。

 ノロウイルスは頻繁に遺伝子変異を起こす。今季、検出されているウイルスの中で多くを占める遺伝子型は「G2・2」。過去にも見つかっている型だが、国立感染症研究所などが茨城県などの患者計19人から検出したウイルスを調べたところ、全てで感染に関わる部分の遺伝子に変異が起きていた。
 遺伝子が変異していれば、過去にノロウイルスに感染した経験があっても免疫は働かない。変異した型が流行の主流になると、初めて感染する子どもだけでなく、大人にも拡大していく恐れがある。油断してはならない。

 予防の基本はせっけんを使った手洗いだ。手の脂肪など汚れを落とすことで、ウイルスを手や指から剥がれやすくする。食事や調理の前、トイレの後などにしっかり洗うことが大切だ。調理器具も洗浄し、熱湯などで消毒したい。

 間違いやすいのはアルコール消毒だ。インフルエンザなどには有効だが、ノロウイルスには効果がないとされる。ノロウイルスには次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤を使う必要がある。

 冬休みで保育園や学校などでの感染は止まるが、家庭で感染する可能性がある。家庭での衛生教育に取り組みたい。大勢の人が移動する時期だ。一人一人が予防を心掛け、これ以上の感染を防ぎたい。