【12月30日付社説】脳死肝移植認定/確かな体制で命のリレーを

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 脳死による肝臓移植の医療技術を高め、移植治療でしか助からない患者を救いたい。

 福島医大病院が、脳死判定を受けた臓器提供者からの肝臓移植手術を実施できる施設として、日本臓器移植ネットワークから認定を受けた。認定は全国25施設目で、東北では東北大病院、岩手医大病院に次ぎ3施設目となる。

 福島医大は、腎臓と膵臓(すいぞう)と合わせて3臓器で脳死による臓器移植を実施できるようになった。現在は、腎臓が泌尿器科、肝臓と膵臓が肝胆膵・移植外科に分かれて治療を行っている。移植治療の専門部を設けて医師らスタッフを集中させるなど、患者を受け入れる院内の体制充実を図らなければならない。

 脳死肝移植の実施施設は、肝臓移植の実績のある専門医が複数いることや、親族ら健康な人から臓器の提供を受ける「生体肝移植」を3年間に10例以上行った症例などの基準を満たす必要がある。

 脳死によらない生体肝移植について福島医大は1995年から取り組み、これまでに63件の手術を行った。術後の生存率は7割を超える。執刀医は肝臓や膵臓外科の専門医3人。年明けには小児肝移植の経験がある小児外科医も加わる。同大で脳死肝移植を希望する患者の期待に応えるためにも、研究や臨床を重ねて移植治療の信頼性向上に努めてほしい。

 脳死肝移植を希望する患者が手術を受けるためには、提供者との橋渡し役を担う日本臓器移植ネットワークに登録する必要がある。同ネットワークによると、肝臓の登録患者は全国で350人で腎臓、心臓に次いで3番目に多い。肝臓登録者の都道府県の内訳は公表されていないが、本県の患者も登録しているという。

 脳死肝移植を希望する県内の患者は提供者が現れるまで、移植手術を受ける県外の認定病院に通い治療を受けなければならなかった。福島医大の認定は、患者、さらには介助する家族の負担軽減につながるはずだ。 

 肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばる。肝硬変などは、ウイルス性肝炎などが進行して発病するが、初期症状が現れにくく、黄だんや腹水などの症状が分かった時には重症化していることも多い。

 重症化した患者には移植治療の検討が必要になるが、その前に患者を重症化させない取り組みを進めなければならない。福島医大は県内の病院と連携して、病気の早期発見、早期治療につながる健診の受診率向上など、県民の命を守る体制を強化してほしい。