【12月31日付社説】シニア世代の雇用/いきいき活躍できる環境を

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 働くことに意欲のあるシニア世代が経験と能力を生かして活躍できる場を増やし、「生涯現役社会」の実現につなげたい。

 定年退職などの後も就労を希望する人が増えている。県が県内6カ所に設置している「ふくしま就職応援センター」を本年度上期(4~9月)に訪れて就職が決まった55歳以上の人は129人で、昨年度1年間の240人を上回るペースとなっている。全体の就職決定者に占める割合も本年度上期は4分の1で、昨年度1年間の約5分の1を上回っている。

 体が元気なうちは働きたいという現役志向の高まりに加え、年金受給額の減少など経済的な理由が背景にある。厚生労働白書によると、60歳以上の人の7割近くが、65歳を超えても仕事をしたいと考えている。

 2015年国勢調査では、県人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は過去最高の28.7%だった。高齢化と人口減が進む中、シニア世代の活躍は社会の活力を維持することにつながる。行政や企業が連携し、就労意欲を生かすことができる仕組みをつくりたい。

 大きな課題は就労先の確保だ。県は昨年度から、ふくしま就職応援センターの郡山事務所に「シニア就業支援員」2人を配置し、求人の掘り起こしや、雇用確保に向けた課題分析などを行っている。

 今後も就労を希望するシニア世代の増加が見込まれる中、就業先を増やすことが重要だ。県は支援員を増員するなど支援体制の充実を図ってほしい。地域の経済団体やシルバー人材センターなどとも情報を共有することで多様な就業先を開拓し、選択肢を広げたい。

 シニア世代は健康や経済力の面で個人差が大きい。業務内容や賃金水準、労働時間など、本人の希望に沿って柔軟な働き方ができる環境をつくることが大切だ。それには企業側の理解も欠かせない。

 シニア世代を積極的に雇用している企業からは「高齢従業員の働きぶりに若手従業員が影響を受け、定着率が上がった」といった声も聞かれる。若者からシニアまで働きやすい職場環境は、企業の活性化にもつながるはずだ。

 政府は働き方改革の一環で、高齢者の就業機会を増やす企業への支援強化を検討している。企業のシニア雇用を後押しする実効性のある施策を求めたい。

 安倍晋三首相は今年を「1億総活躍元年」として、労働政策の見直しを進めてきた。来年はさらに、仕事と家庭を両立しながら年齢や性別に関係なく活躍できる社会づくりを進めていくことが重要だ。