【1月4日付社説】外国人旅行者/「観光したい福島」つくろう

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 外国人旅行者は何を望んでいるのか。需要をしっかり捉えて本県の観光資源に磨きを掛け、外国人旅行者(インバウンド)の誘客を加速させたい。

 県は、インバウンド施策の強化に向けて、県旅館ホテル生活衛生同業組合と連携し、外国人旅行者の実態調査を今冬から始める。

 県はこれまで観光庁のデータなどを活用してきたが、自前の調査を行うことで旅行者の市町村ごとの滞在目的や観光ルートを把握し旅行者の需要に合った企画の立案や施設整備に役立てる考えだ。

 外国人の誘客は地方創生策の柱として全国の自治体が取り組んでいる。とくに2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて誘客競争は激しさを増しそうだ。調査結果を逐次、施策に役立てるとともに、調査を継続し、需要の変化に対応したきめ細かな施策を打ち出していくことが大切だ。

 日本を訪れる外国人旅行者はうなぎ上りで増えている。日本政府観光局によれば昨年1~10月の累計は2011万人となり、通年で初めて2000万人の大台を超えた。政府は20年に4000万人、30年には6000万人の目標を掲げ、外国人旅行者の誘客に取り組んでいる。

 その一方で、本県はその波に乗ることができていない。本県の外国人延べ宿泊者数は震災前の10年は全国で28番目だったが、震災後は後退し40番台で推移している。15年の宿泊者数は前年に比べ3割近く増えたが、他県の伸びの方が大きく順位は45番目だった。

 日本政策投資銀行が昨年行った外国人旅行者に対する意向調査の結果をみると、日本旅行の不安材料として、「地震発生」と「放射能に関する健康被害」を選んだ人が、「言葉」や「費用」に関する不安に次いで多かった。

 本県の外国人宿泊者数と、日本旅行の不安材料とを重ね合わせると、震災と原発事故後の本県や放射能に関わる理解不足が見えてくる。これまでの外国に対する情報発信が不十分であることの証左であり、政府と県は情報発信の在り方を見直し、正しい情報が確実に伝わるよう努めてほしい。

 観光は、成長性の高い産業であり、波及効果の裾野が広い産業であることなどから、「21世紀最大の成長産業」と言われている。

 外国人旅行者の興味や関心は、「爆買い」に代表される買い物中心の「モノ消費」から、体験中心の「コト消費」に移りつつある。県内にある自然や温泉、歴史・文化など、他県に負けないものを上手にアピールし、何度でも訪れたい「観光福島」を築きたい。