【1月5日付社説】定住・二地域居住/ひびき合える仲間増やそう 

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 人口減少と少子高齢化の波を乗り越えていくために、ひびき合える仲間を増やしていきたい。

 県は新年度、地方創生策の一環として、県内に移住したり、県内外それぞれに生活拠点を持つ「定住・二地域居住」の促進策を強化する。

 若者に焦点を当て、首都圏などの学生を対象に県内で仕事や生活を体験したり、震災と原発事故後に生まれた新産業を紹介するツアーなどを展開する考えだ。

 県人口は、戦後初めて推計人口が190万人を割り込んだ。少子高齢化、若者の県外流出などに対する対策は待ったなしだ。本県の復興と地域活性化のためには若者たちの力が必要だ。県内で県民と共に働き、暮らし続けたくなるような環境を整えたい。

 ライフスタイルの多様化で、首都圏には地方での生活を希望する若者が多い。内閣府の調査では、東京に住む10、20代の5割近くが地方移住を検討したいと答えている。こうした若者たちの心を捉え、移住先に選んでもらう施策を展開することが重要だ。

 ではどうすればいいか。若者の移住では、移住先で生計を立てることができるかどうかがポイントとなる。昭和村が募っている「からむし織体験生」を1年務めた後、定住した女性は「定住には生活基盤をどうつくるかが大切だ」と指摘する。県は、移住する利点を具体的に想像できる生活モデルを示すことが欠かせない。

 生活モデルはできるだけ多く示す必要がある。県が力を入れる新産業とともに漆器、酒造りの地場産業や農業などの幅広い分野でモデルを提示したい。仕事の内容や収入の見通しなども明確にすべきだ。県内での起業を支援する施策を用意すれば、より多様な人材を集めることができるだろう。

 本県は震災前、静かな暮らしや自然とのふれあいを求める中高年層から人気があり、移住希望地ランキングでは2010年まで3年連続の全国1位だった。しかし震災後は、原発事故の影響などもあって15年には16位まで低下した。

 中高年層には県内への定住だけでなく、二地域居住もPRしていきたい。豊かな自然に恵まれている一方で、新幹線や高速道路といった交通の便に優れていることなど、本県の良さを積極的にアピールして原発事故のイメージを払拭(ふっしょく)したい。リフォーム可能な空き家の情報などもきめ細かく提供することも大切だ。県は市町村や関係団体と連携を密にし、福島県の将来を一緒につくっていく県民を一人でも多く増やしたい。