【1月7日付社説】県内交通死増加/事故ゼロへあらゆる手段を

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 悲惨な交通事故を根絶するためにあらゆる手だてを尽くしたい。

 県警のまとめによると、県内で昨年1年間に起きた人身交通事故は5802件で、前年より1092件(約16%)減少し、51年ぶりに6000件を下回った。一方で、死者数は90人で前年に比べて13人(約17%)増加した。犠牲者が90人台になったのは5年ぶりだ。

 警察庁のまとめによれば、全国の昨年の交通事故発生件数は前年より約7%、死者数も同じく約5%減少した。死者数が前年を上回ったのは本県を含め17県だけだ。

 なぜ、県内では事故の減少が、死者の減少に結びついていないのか。事故の原因を詳しく分析して対策を見直し、犠牲者の減少に向けて着実に手を打っていかなければならない。

 県内、全国ともに交通事故が減少していることについて、県警などは車の安全性向上や道路環境の改善、安全教育の浸透―などを挙げている。車の安全性に関しては、シートベルトやエアバッグに加えて、追突を防ぐ自動ブレーキなどを搭載した「先進安全自動車(ASV)」が増えていることも寄与しているとみられる。

 事故減少に拍車を掛けるためにASVをさらに増やしていきたいが、まずは誰もがすぐに実践することができるシートベルトの着用を徹底することが肝心だ。

 県警によると昨年、車に乗っていて死亡した38人中、ベルト非着用は18人で、このうち12人はベルトを着けていれば助かった可能性があるとみている。車の安全性の向上とともに、一人一人が交通安全について、いっそう意識を高めることが、事故をなくす近道であることをあらためて認識したい。

 高齢者の事故防止対策にも引き続き力を入れなければならない。昨年、交通事故で亡くなった65歳以上の高齢者は41人で前年より2人減り、死者全体に占める割合も約56%から約46%に減少した。

 ここ数年、50~60%程度で推移していたことを考えると、高齢者に焦点を当てた県民総ぐるみ運動などが功を奏した結果と受け止めることもできる。しかし、依然として事故死者の半数近くを高齢者が占める現実は重い。気を緩めず多面的な対策を講じていかなければならない。

 高齢者は、事故の被害者だけでなく、加害者になるケースが増えており、社会問題になっている。3月には高齢運転者に対して認知症の確認を強める改正道路交通法が施行されるが、悲惨な事故を1件でも減らす努力は社会全体に求められていることを銘記したい。