【1月10日付社説】小名浜港長期構想/世界レベルの機能と空間に

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 国際的に通用する高度な物流機能と豊かな交流空間を備えた競争力のある港を目指してほしい。

 県は、小名浜港の20~30年先を見据えた同港の将来像を「小名浜港長期構想」としてまとめた。

 貨物船の大型化に対応する物流拠点、観光振興を図る交流拠点、災害時に市民や企業を支える防災拠点―としての役割を果たすための取り組みなどを盛り込んだ。県は構想を本年度中に改定する「港湾計画」に反映させる。

 国の重要港湾である小名浜港は、本県の海の玄関口であり、本県の復興や経済活性化に欠かせない。現状や課題を見極めながら構想実現に向けて、実効性のある港湾計画を煮詰めることが大切だ。

 小名浜港は1954年に国際貿易港として開港した。その後、64年の新産業都市「常磐・郡山地区」指定を弾みに、東京と仙台のほぼ中間にある地の利を生かして発展してきた。

 東日本大震災では港湾施設が被害を受け、取扱量が大幅に減少したが、2012年以降は震災前の水準まで回復している。取扱品目は石炭や重油などのエネルギー関連が7割以上を占めている。

 しかし、大型船に対応する岸壁が少ないことから、積み下ろしのため沖合で順番を待つ滞船(沖待ち)が常態化しており、解消が緊急の課題となっている。

 20年には常磐共同火力などによる大型石炭ガス化複合発電設備「IGCC」が稼働する予定で、石炭扱い量が増大する見通しだ。

 現在、東港地区で進めている国際物流ターミナルなどの整備を急ぐことで、沖待ち解消や、十分な荷さばき場の確保などを実現し、東日本の石炭輸送拠点として確かな地位を固めることが肝心だ。

 交流拠点としても整備を急ぎ、活用を図らなければならない。

 小名浜港は、いわき市の観光拠点であり、アクアマリンパークの観光客数は同市の観光客数の約25%を占める。港のにぎわいをつくり出し、市の活性化を図りたい。

 全国の港はクルーズ船ブームに湧いている。小名浜港は震災前は年1回程度、客船が入港していたが震災で中断、昨年6月にようやく震災後初の入港があった。

 クルーズ船を利用して日本を訪れた15年の外国人旅行者は前年比約2.7倍の約112万人だった。日本人客の利用も増えている。

 クルーズ船が入港すれば市内外への経済波及効果が期待できる。客船対応施設などハード面だけでなく、誘致や受け入れ態勢の強化などソフト面に官民を挙げて取りむことが必要だ。