【1月11日付社説】甲状腺がんと放射線/不安払拭へ第三の目生かせ

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 第三者の目による検証は有意義だ。県民の不安解消につなげるためにも第三者機関を設置し評価を得るべきだ。

 東京電力福島第1原発事故に伴う健康影響を調べている県民健康調査検討委員会は、原発事故と甲状腺がんとの因果関係を科学的に検証する第三者機関を設置するよう、県に提案した。

 検査結果の検証は、国内の甲状腺や疫学の専門家らによる検討委の甲状腺検査評価部会が行っている。検討委から独立した第三者機関が、放射線の影響がないことを確認できれば、県民が県内で暮らし続けるための安心材料となる。他県に根強く残る本県と放射線を結び付ける印象も払拭(ふっしょく)できるはずだ。県は提案を受け、速やかに第三者機関の設置に動いてほしい。

 甲状腺検査は、事故当時18歳以下の約38万人を対象に、超音波検診を行っている。このうち昨年9月末現在、145人ががんと診断された。評価部会はチェルノブイリ原発事故に比べて第1原発事故の被ばく線量が大幅に低いことなどから「放射線の影響とは考えにくい」としている。

 この判断に対し、国連放射線影響科学委員会が「原発事故による影響はないだろう」と指摘するなど、国際機関や専門家が肯定する見解を昨年相次いで示した。一方、一部に否定的な論文を発表する研究者がいる。評価部会の判断を裏付け、より確かな根拠とするために、第三者機関の設置は必要だ。

 第三者機関には、より多くの知見を持つ、世界保健機関や国際原子力機関といった国際機関の協力が欠かせない。また、日常生活で子どもたちの病気を診察している小児科医の意見も必要だろう。県には、幅広く人選を進めることが求められる。

 子どもの甲状腺検査は前例にない取り組みであり、被ばくの影響を判断する基準が明確になっていない。この点が県民の不安材料の一つになっている。第三者機関は、検査でその影響を判断するための基準も示してもらいたい。

 また、甲状腺検査の手法を巡っては、規模縮小を含めた見直しや、拡充を求める両論の要望が県に出された。検討委は今後の検査の在り方を検討している。第三者機関の検証は、検査手法の方向性を決めるための参考にもなるはずだ。

 検討委の星北斗座長は「中立、科学的な立場で甲状腺がんへの放射線の影響を評価してもらうことが県民の理解につながる」と話している。県は第三者機関を恒久的な組織として、検討委の議論に生かしていくことが重要だ。