【1月13日付社説】ネット資金/地方の挑戦花開かせる糧に

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 新産業の創出や地域の活性化、まちづくり推進の糧として、有効に活用していきたい。

 インターネットを通し、新規事業や地域イベントなどの資金を募る「クラウドファンディング(CF)」を活用する事業者や団体が県内でも増えつつある。

 CFは「大衆(クラウド)から資金調達(ファンディング)する」という意味の造語。事業者などが、CF運営業者の開設する専用サイトで製品や事業のアイデアを提案し、共感を得た人たちから1人当たり数万円程度の小口の資金を募る。欧米で10年ほど前から始まり、日本では東日本大震災で被災した企業への復興支援で広がった。

 出資者に対する見返りによって「寄付型」「購入型」「投資型」に大別される。寄付型は見返りがなく、購入型は品物などのお礼が出資者に贈られる。投資型は収益に応じた配当を得ることができる。

 CFは、中小企業でも広く出資を募ることができ、新しい発想や技術を事業化できる可能性が広がる。地方からの挑戦を支援する手法として上手に育てたい。

 政府は、都市から地方への資金循環を促すことができるCFの普及を目指し、行政や地域金融機関に活用の後押しを求めている。

 県は本年度、CFで地方創生に取り組む事業者への支援を行う。投資型と購入型で起業や事業拡大、県産品の売り込みなどを目指す事業者を募り、サイト運営業者に払う手数料などを補助する。県は支援事業の効果や課題を検証し、事業者がより使いやすく事業展開に役立てることができるような支援策にしていく必要がある。

 福島信用金庫はじめ県内の金融機関は、サイト運営業者と協定を結び、CFを希望する企業との橋渡しを始めた。成長が期待される企業の発掘に力を入れてほしい。

 CFは、まちづくりなどにも活用されている。広野町は、院長の突然の死去で存続が危ぶまれている高野病院を支援するため、CFで寄付を呼び掛けた。その結果、目標の250万円を上回る寄付が集まり、診察の応援に来てもらう医師の宿泊費などのめどが付いた。

 原発事故で避難区域になっている川俣町山木屋地区の和太鼓団体「山木屋太鼓」は昨年、福島の現状を世界に発信しようと米国公演を企画。CFで渡航費用などの支援を呼び掛け、公演を成功させた。

 今後もCFを復興や地域おこしに活用しようという自治体や団体は増えていくことが見込まれる。多くの人が共感し、応援したいと思われるような取り組みを提案していくことが大切だ。