【1月14日付社説】猪苗代湖の水質/「日本一」復活へともに力を

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 猪苗代湖は、磐梯山とともに本県の豊かな自然を代表するシンボルだ。県民がともに力を合わせ、日本一の水質をよみがえらせたい。

 環境省がまとめた2015年度の湖沼の水質ランキングで、猪苗代湖は7年連続でランク外となった。05年度まで4年連続で日本一きれいな水質だったが、その後、08年度に全国2位になった以外はランク外が続いている。

 水質ランキングは、水の汚れを示す化学的酸素要求量(COD)や大腸菌群数など4項目の基準を全て満たした湖沼が対象となる。

 猪苗代湖は、大腸菌群数が100ミリリットル当たり7900個で、基準である千個以下を満たせなかったため、ランキングの対象から外れた。他の3項目は基準を満たした。大腸菌群数を減らすことが日本一復活への課題になっている。

 大腸菌群を抑制するためには、大腸菌群の栄養分となるヨシやヒシなどの水生植物の除去と、汚れた水を流入させない取り組みとを両輪で進めなければならない。

 地元の環境保全団体は、毎年夏から秋にかけヨシやヒシの回収・刈り取りを行っている。刈り取りには、多くの県民がボランティアで協力している。猪苗代湖の現状などを学ぶ学習会を充実させるなど、環境への県民意識を高め、参加者をさらに増やしたい。

 県も刈り取り船を導入し、沖合のヒシを回収している。その一方で、湖水の汚れにつながる窒素とリンを除去できる高度浄化槽を家庭で設置する際の補助制度を設けるなど、生活排水の流入防止に取り組む。ただ、高度浄化槽の設置は20年度に805基とする目標に対し、15年度は79基にとどまる。

 流域の家庭や企業でも汚れた水を流さないようにするなど、できることから始めたい。県は食器を洗う際におけを使って洗剤の量を少なくしたり、残り湯を洗濯に使ったりすることなどを勧める。湖畔でのキャンプでは食べ残しを流さないなどの心掛けが大切だ。

 猪苗代湖の湖水は元々酸性で、水に含まれる鉄分などが湖水を自然に浄化させる作用があった。しかし近年は中性化が進み、その浄化の力が弱まっている。水質を回復させるためには、恩恵を受ける全ての人の努力が欠かせない。

 猪苗代湖は、会津以外の住民の暮らしも潤してきた。湖水は、県中地域の発展を支えた安積疏水にも役立てられた。安積疏水は昨年、地域の文化財を観光資源に活用する日本遺産に認定された。猪苗代湖のきれいな水質を守り続ける取り組みは、県民が美しい県土を後世に残していく土台となる。