【1月17日付社説】県内1漁協へ/合併で「漁業再興」に弾みを

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 県内漁協の懸案だった「県内1漁協」構想が大きく前進した。本県の漁業再興へ向けて早期の合併を実現してもらいたい。

 県漁連に所属する県内の6漁協が合併研究会を開き、2018年10月1日を目標に1漁協に統合する方向で合併の議論を本格化させることを決めた。

 合併を目指しているのは、いわき市、相馬双葉、小名浜機船底曳網、県旋網、中之作、江名の6漁協で、組合員数は計1198人(15年3月末現在)。

 6漁協の合併に向けた協議は05年の合併研究会発足で始まったが組合ごとに財務内容が異なることなどで平行線をたどった。さらにその後、東日本大震災と原発事故が発生した影響で中断していた。今回の協議進展は、震災後の経営環境の変化が後押しする形となった。この機を逃さずに、着実に協議を進めるよう求めたい。

 今後は合併推進協議会に移行して、合併調印へ具体的な手続きの議論に入る。水揚げする港や各種施設の集約、職員の人員配置、販売事業の形態などについて議論する見通しだ。

 合併に向けては、各漁協によって立場が異なる部分や主張したいこともあるだろうが、合併は漁協の経営効率化や経済基盤の強化が目的であることを忘れずに精力的に議論し合うことが大切だ。組合員のニーズにも配慮しながら合意形成に努めてほしい。

 漁協の合併は全国的な流れだ。

漁獲量や魚価低迷による水揚げ手数料や組合員の減少などで年々、漁協経営が苦しくなっていることが背景にある。東北では既に秋田、山形、宮城の3県が1県1漁協になっている。

 県内の漁協は、これら全国共通の課題に加え、震災と原発事故からの再生という重い荷を背負っている。沿岸漁業と底引き網漁業はいまだ試験操業の段階だ。この厳しい状況を乗り切るためにどのような漁協運営が必要になるのか。

 漁業は、浜通りの基幹産業であり加工業者などを含めれば裾野は相当広い。地域経済への波及効果は大きく、地元自治体の復興に果たす役割も計り知れない。それらのことについても再認識して議論を進めてもらいたい。

 県は震災後につくった「ふくしま農林水産業新生プラン」で、漁業について20年までに震災前と同じ漁獲量に戻すことなどを掲げているが現状では容易ではない。県内1漁協がみえてきたことを契機に、より具体的な再生プランを作成し、本県水産業の展望を示すよう求めたい。