【1月18日付社説】医療機器産業/集積進め「福島発」を世界に

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 県内で医療機器産業の集積が進んでいる。集積を促進して本県の産業再生のけん引役にしたい。

 本県の医療機器産業の企業数や生産額はこの10年間で倍増した。企業数は約70社に上り、生産額(2014年)は1303億円と全国3番目に多い。生産額の伸び率は全国を上回っており、国内有数の生産拠点に成長している。

 県は、2005年から医療機器産業の集積を目指すプロジェクトを本格化させ、県外からの企業誘致や県内製造業の育成に取り組んできた。さらに東日本大震災と原発事故後は、産業復興の柱に位置付けて研究開発費と工場建設費を補助したことが後押しになった。

 補助制度を利用して、オリンパスは医療用の内視鏡を製造する県内の工場を増設し、装着型ロボット開発のサイバーダインは郡山市に工場を新設するなど、震災後の工場の新・増設は60件を超える。

 新製品の開発支援では、使い切りの処置具を使う内視鏡システムや電子聴診器など約30の製品が生み出された一方で、約40の研究開発が進んでいる。県は、研究者やコンサルタントの派遣などを通して、企業の研究開発を積極的に支援し、「福島発」の製品を国内外に送り出したい。

 県は昨年11月、「ふくしま医療機器開発支援センター」を郡山市に開所した。医療機器の開発から事業化までを一体支援する国内初の施設で、開発段階にある機器の安全性の評価試験を行うほか、新規参入を目指す企業への経営支援や取引仲介などを展開する。

 安全性を評価する施設の稼働は2月以降になる予定だが、既に県内外の企業から利用の申し込みがあるという。県は、センターの特徴や強みを国内外に発信し、さらなる企業誘致につなげるべきだ。

 医療機器産業の一層の集積に向けては、誘致した企業などで働く人材の育成が課題になる。県内に進出した企業からは採用を募っても新卒者が集まりにくい―との指摘がある。工業系高校で技術者の卵を養成したり、県内外の学生に対して県内の企業への就職を働き掛けるなど、人材確保の取り組み強化が求められる。

 県は、医療機器産業の先進国であるドイツのノルトライン・ウェストファーレン州と連携強化に関する覚書を結んでいる。県は20年に医療機器分野の生産額を1750億円とすることを目標に掲げているが、同分野の市場規模は国内で約2兆8000億円、世界では約40兆円に上る。同州との連携を核に県内企業の世界展開が加速度的に進むよう環境を整えていきたい。