【1月19日付社説】子どもの貧困対策/「未来への投資」として力を

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 生まれ育った環境に左右されず子どもたちが夢や希望を抱きながら成長できる社会をつくりたい。

 「食事だけではなく、コミュニケーションが大切だ」。福島市で開かれた「子どもの貧困対策を考えるフォーラム」で、俳優の風間トオルさんは、子どもが健やかに育つための環境の充実を訴えた。

 風間さんは5歳の時に両親が家を出たため、年金暮らしの祖父母に育てられた。貧しくても前向きに成長できたのは周囲の人が手を差し伸べてくれたからだという。

 簡単な手伝いをしただけで商品を食べさせてくれたホットドッグ店、ポスターを毎日眺めていたら館内に入れてくれた映画館。大人の温かいまなざしがあったおかげで非行に走ることなく、自立することができたと振り返る。

 子どもたちは無限の可能性を秘めている。しかし、家庭が貧しいために能力を発揮する機会を得ることができない子どももいる。

 家庭の経済格差が、子どもの教育格差を生み、将来の所得格差につながっているとの指摘がある。生まれた家の豊かさによって、子どもの将来が決まってしまうような社会は健全とは言えない。

 日本財団は、子どもの貧困対策を講じない場合に社会が被る損失を試算している。本県の損失額は15歳の子どもだけに限っても338億円で、県内の総生産額に占める割合は0.5%になるという。

 政府は2018年度から、大学生らを対象に返還不要の給付型奨学金を導入するが、内容はまだ十分とは言えない。子どもの貧困対策を「未来への投資」と考えて対策を講じていくことが必要だ。

 貧困は経済的な側面だけクローズアップされがちだが、それだけではない。フォーラムに参加した日本財団の青柳光昌さんは子どもが地域で孤立する「関係性の貧困」を指摘した。家庭の事情によって人との関わりが希薄になり、あいさつなど生活規範が身に付いていない子どももいるという。

 子どもの社会性を育む場として子ども食堂などの「居場所」が果たす役割は大きい。ただ、県内の子ども食堂があるのは都市部が中心だ。都市部だけでなく、各地域で官民共同などによる設置を検討してほしい。

 子どもたちへの支援は行政や団体でなくてもできる。一人一人が近所の子どもと普段からのコミュニケーションを大切にすれば、困っている子どもを見つけたり、関係機関につないだりすることもできる。支援への一歩を踏み出し、子どもが貧困から抜け出すきっかけを見いだしたい。