【1月21日付社説】首相施政方針/壁を越え未来開く復興策を

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  通常国会が召集され、安倍晋三首相は施政方針演説で「未来を生きる世代」のための「新しい国造り」への挑戦を呼び掛けた。

 トランプ米政権の誕生に象徴されるように世界中で政治、経済、社会の枠組みが重大な岐路を迎えているのは間違いない。これからの日本の在り方について熟考する機会は必要だろう。

 第2次安倍政権は発足から5年目となり「1強」の安定政権が続くが、アベノミクスをはじめ道半ばの課題も多い。しかし首相の演説では、直面するさまざまな課題への説得力ある対処方針が示されたとは言い難い。通常国会では日本の将来像を描く与野党の厳しい論戦を求めたい。

 壁を打ち破り、未来を開く―。首相は演説の中で幾度も強調した。その姿勢は、少子高齢社会を突破し、デフレからの脱却と新しい成長をなすことだけでなく、東日本大震災と原発事故からの復興を目指す本県にこそ必要だということを指摘しておきたい。

 本県では、震災と原発事故から丸6年がたとうとしているいまも復興が最大の課題だ。

 政府がこの国会に提出した2017年度予算案の復興特別会計は2兆6896億円。原発事故に伴う帰還困難区域への対応や帰還支援策に重点が置かれ、事故で立ち入りが制限されている帰還困難区域の再生に向けた「特定復興拠点」の整備費用を初めて盛り込んだ。

 県内での除染は帰還困難区域を除き本年度中に完了し、避難指示解除が進む見通しとなっている。避難を続けてきた人たちにとってはふるさとへの帰還か、避難先への定住かについて判断が迫られる大きな節目となる。

 震災と原発事故から7年目を迎える新年度も、復興に関わる施策と被災者の支援が切れ目なく行われるよう、実りのある議論と予算の確実な成立を求めたい。

 政府は今国会に、本県復興に関する取り組みを定めている「福島復興再生特措法」の改正案を提出する予定だ。

 首相は演説で「福島復興特措法を改正し、イノベーション・コースト(福島・国際研究産業都市)構想を推し進め、官民合同チームの体制を強化し、なりわいの復興を加速する」と述べた。

 30~40年かかるといわれる第1原発の廃炉とその汚染水対策、根強く残る風評など立ちはだかる壁を乗り越え、本県の確かな未来を切り開いていくためには、首相のリーダーシップと実効性のある政策が不可欠であることをあらためて銘記すべきだ。