【1月22日付社説】トランプ大統領就任/「米国第一」で夢かなうのか

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 国際社会に背を向ける姿勢で、国家を再建し、希望を取り戻すことができるのか。大局を見据えた熟慮の政策こそ求められる。

 ドナルド・トランプ氏が第45代米大統領に就き、米国だけのことを考える「米国第一主義」の政策をひたすら遂行すると宣言した。

 自由や民主主義、寛容といった建国以来の理念を基に世界に関与し国際秩序を築くこれまでの米国の原則は消え去り、米国の理念が敗北したような印象を受ける。

 就任演説が鮮明にしたのは、「恩恵を享受する支配層」対「忘れられた庶民」、「利益をむさぼる外国」対「犠牲となる米国」という敵を設定する典型的なポピュリズム(大衆迎合政治)である。

 しかし、世界が抱える格差や異文化との衝突など、グローバル化の弊害は、単純な敵対関係を設定したところで解決できない。

 貿易、経済、安全保障、外交などあらゆる分野で国際的な責務を投げ出し、米国第一のためには友好国と敵対しても構わないというメッセージに、国際社会は衝撃を受けている。

 日本は同盟関係が弱まることも覚悟しなければならない。しかし、トランプ政権が永久に続くわけではない。その支持率は40%台と、まれにみる低さで波乱が予想される。日本は大統領の発言に一喜一憂したり、こびたりせずに、国際主義の主張を掲げ続けたい。

 大統領が演説で語った米産業の犠牲の末に他国が豊かになったという主張や、他国の軍を援助し他国を守る間に米軍は劣化し、自国の国境も守れない状況になった、との説明は納得できない。

 米国が君臨した西側世界の繁栄、自由貿易システム、米軍の前方展開を受け入れた同盟国の決断、そして移民がもたらした活力で、米国自体が大きな利益を上げてきたのは歴史的な事実だ。各国は米国のために随分犠牲になってきたのだ。大統領は支持者の受けを狙い事実をゆがめている。

 大統領は環太平洋連携協定(TPP)からの離脱、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉、不法移民阻止のための壁建設などを正式に宣言した。これらは世界経済にも重大影響を与える措置ばかりだ。

 指摘したいのは一連の政策で、「忘れられた庶民」が豊かになり夢を実現できる生活を営むのは難しいことだ。貿易や人の流れを制御し、ツイッターで大企業を個別攻撃しても、「偉大な米国の復活」にはつながるまい。グローバル化の弊害は一国だけでなく多国間で政策を協調し解決するのが最善であることを認識すべきだ。