【1月26日付社説】新横綱稀勢の里/心技体に磨きかけ名勝負を

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 稀(まれ)なる勢いを―。しこ名に込められた意味を改めてかみしめて、ファンの期待に応えてほしい。
 大相撲初場所で優勝した大関稀勢の里が横綱に昇進した。3代目若乃花以来、実に19年ぶりの日本出身力士の横綱誕生だ。
 18歳で新入幕となり前途を嘱望されながら伸び悩んだ時間は長かった。大関在位31場所、横綱昇進を期待する声は場所ごとに高まっていた。こつこつと努力を重ね、ついに初優勝を勝ち取り、横綱になった。祝福の拍手を送りたい。

 若貴ブーム終盤以降、この19年は大相撲にとって、どんな時代だっただろう。モンゴル出身の朝青龍は、速くて力強い相撲で番付を駆け上がり、土俵上での会心の笑みで多くのファンを獲得した。

 続いて登場したのが白鵬だった。守勢になっても勝ちきる粘り強さ、技の巧みと鋭さ、さらに隙のなさで連勝街道を突き進み、大横綱になった。モンゴル出身の2人は特別な才能に恵まれていた。その厚い壁に、日本出身力士ははね返されてきた。

 そんな中、稀勢の里は前頭のときに白鵬の連勝を63で止めるなど、得意の型になると、無類の強さを発揮する怪力力士として存在感を高めてきた。このところは好成績が続き、昨年の九州場所では3人の横綱を撃破してみせた。

 横綱審議委員会は大関からの昇進条件について「2場所連続優勝か、それに準ずる好成績」と定めている。その規定から、初優勝での昇進はどうかとの指摘もある。しかし年間最多勝などの安定感は高く評価されるものだ。横綱として胸のすくような活躍を披露して指摘を一蹴すればいい。

 横綱稀勢の里に求められるのは何だろう。最高位への到達が終着点でないのはもちろんだ。優勝回数を増やしていくことは当然のこととして、白鵬との熱戦をさらに繰り広げることだ。

 大相撲ファンがいま、最も心を躍らせるのは両者の激突だろう。大相撲の歴史は名勝負でつづられてきた。これからは両横綱が白星を重ね、千秋楽で優勝を懸けて対決しファンを沸かせてほしい。

 30歳の稀勢の里は丈夫な体の持ち主だ。馬力は健在で、攻め急がず、落ち着いた取り口が増えてきた。武器は必殺の左おっつけ。取りこぼしは確実に減っている。

 県内にも新横綱誕生を祝う声が響き渡っている。記者会見で新横綱は「もっともっと人間的にも成長して尊敬される横綱になりたい」と話した。ファンの応援に報いることができるよう心技体にいっそう磨きをかけてもらいたい。