【2月2日付社説】モモ輸出「日本一」/安全性とおいしさの証明だ

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 2016年の県産モモの東南アジア3カ国(タイ、マレーシア、インドネシア)への輸出量が、都道府県別で「日本一」となった。全体の輸出量も東日本大震災と原発事故前の水準を超えた。

 本県のモモは、全国トップの山梨県に次ぐ収穫量を誇り、「果樹王国ふくしま」を支える大黒柱である。今回の日本一を、販売戦略やPRのモデルとし、県産農産物の輸出を加速させたい。

 県産モモは、震災前の10年に約24トンの輸出があったが、原発事故による各国の輸入規制で11年はゼロに落ち込んだ。その後、タイやマレーシアの規制解除を受けて輸出促進に取り組んだ結果、16年の輸出量は約31トンと10年を超えた。

 3カ国での市場占有率日本一について県は、県産モモの品質の高さに加え、トップセールスや販売方法の工夫などが功を奏したとみている。県産モモはみずみずしくて甘く、食感が良いことが現地で受け入れられている。農家はじめ官民の努力が結実したといえる。

 一方で、震災前の主要輸出先だった香港や台湾への本県からのモモの輸出は再開されていない。16年の場合、日本からは、香港へ約983トン、台湾へ272トンが輸出されているが、全て他県からだ。

 農産物など県産食品は、原発事故後に設けられた放射性物質に関する基準に沿って安全性が厳しくチェックされている。今回の日本一の実績を風評被害対策に生かし、輸出量の増大と輸出先の拡大につなげることが重要だ。

 県産食品の風評被害対策を巡って政府は、今国会に提出する「福島復興再生特別措置法」改正案の中に、国が市場調査や業者への指導、助言などが行えるようにする条文を盛り込む方針だ。

 しかし、政府が1月31日に自民党に示した改正案の条文では風評被害の発生要因について、「放射性物資の有無又はその状況が明らかになっていないことに起因」と表記。議員から「風評被害は食品などが基準値を下回っているのに誤解があることから生じている。状況が分からないからではない」と指摘され、きのう急きょ修正した案を示す事態となった。

 震災と原発事故後、本県の農家は風評と闘い続けている。その一つの成果が今回のモモの日本一である。しかし全体を見渡せば、風評はいまだ根強く、固定化が強く懸念されている。

 まずは政府が認識を正さなければ、国民、そして世界中の全ての人々に理解を得ることは難しいことを肝に銘じて、風評被害対策と輸出拡大の前面に立つべきだ。