【2月5日付社説】東京一極集中/総力戦で是正の道筋つくれ

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 東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)の人口一極集中が止まらない。地方創生を成すために国と地方が総力戦で、地方からの人口流出と東京一極集中を食い止めるための仕組みを考える必要がある。

 総務省の2016年人口移動報告によると、東京圏の転入者が転出者を11万7868人上回る「転入超過」となった。前年より1489人少なく5年ぶりに減少に転じたが、これをもって「地方創生の成果だ」と強弁できるほどの数値ではあるまい。本県など40道府県は転出超過が続いたままだ。

 安倍晋三政権は「まち・ひと・しごと総合戦略」を14年末に決定し、東京圏の転入者と転出者の数を東京五輪が開かれる「20年には均衡させる」という目標を掲げた。地方で毎年10万人分の雇用を生み出して流出を防ぐとともに、東京からの移住・定着に結び付ける新しい「ひと」の流れづくりに取り組むというものだ。

 ではその成果はどうか。15年度には東京から本社機能を移転させた企業の減税制度をつくったが、経済産業省によると16年末までに適用が決まったのは全国でわずか12社にとどまる。

 中央省庁の地方移転も全面的な移転が決まったのは文化庁だけだ。戦略を策定して2年が過ぎている。結果で示すか、それができないならば、少なくとも「20年均衡」に向け、裏付けがある具体的な道筋を早急に示すべきだ。

 本県は前年の約2・4倍にあたる5839人の転出超過だった。増加幅は全国最大だ。ここ数年の動きをみると、震災があった11年には県外への避難者もあって約3万1000人の転出超過となったが、15年には2395人まで減少していた。一転増加の背景には帰還の動きが一服したとも受け取れる。今後も大幅な転出超過が懸念される。県は要因を詳しく調べ、実態に即した対応策を立てるべきだ。

 地方から若者が出るタイミングは二つある。一つは高校を卒業し、進学や就職をする時、もう一つは地元の大学を出て仕事に就く時だ。本県では高校生の約8割が大学進学などで県外に行き、県内大学生の約6割が県外に就職しているのが現状だ。流出を止めるには、より魅力がある大学や勤め先を県内でも増やさなければならない。

 首都圏は直下型地震の危険性が指摘されており、企業にとってリスク分散の重要性は増している。本県は首都圏からのアクセスが良く、震災後は復興関連を中心に産業の集積も進んでいる。県はこうした利点を積極的にアピールし、企業の進出を働き掛けてほしい。