【2月7日付社説】ものづくり県/開発・提案力強めて進化を

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 東北一の「ものづくり県」のさらなる進化を図るため、企業の商品開発と提案力を強化したい。

 県は新年度、県内のものづくり企業の新商品開発に対し、構想から事業化までを一貫して支援する方針を固めた。新商品を開発したり、取引先に受注品製造の解決策を提案したりできる「開発・提案型」の企業を育成する。

 県ハイテクプラザ職員や大学教授などの専門家を100社以上に派遣し、各企業の技術力や商品開発のニーズを掘り起こす。また商品試験の支援や技術指導などを行うほか、市場調査や、特許出願などの知的財産権取得も支援する。

 開発・提案型の企業は、単に高品質な製品を作って供給するだけでなく、常に新商品を開発していくことで、ものづくりの新しいアイデアと技術を蓄積している。このため、顧客から製品開発の相談を受ける機会が増えるなど、企業力が高まる。自社の技術力を生かす新商品づくりが大切だ。

 本県の製造品出荷額は5兆円を超え、東北1位を誇る。ただ県内の製造業は部品を提供する請負企業が中心だ。このため市場調査や商品開発を行うためのノウハウや人材に課題があり、新分野へ進出は進んでいない。

 一方で、県が長年にわたって集積を進めてきた医療機器分野では、製品開発を行う企業数が約70社で、この10年間で倍増した。この中には、世界市場に販路を広げるような企業も育っている。

 魅力的な自社製品があり、常に商品開発を進めていく企業の姿勢は、社員の士気を高め、離職を防いだり働き手を確保したりすることにつながるはずだ。

 経済産業省は2015年度版のものづくり白書で「新たなビジネスモデルの変革への対応に出遅れると、競争力喪失を招きかねない」と指摘する。県は医療機器分野の先進事例を示しながら経営者に意識改革を促すことが必要だ。

 県内企業が開発・提案型に脱皮することは、復興と地方創生という本県の最重要課題に対する効果が大きい。

 県は再生可能エネルギーやロボット、医療機器などの企業を集積し、産業の再生を目指している。開発・提案型の企業が増えることで、これら新分野に参入する県内企業も増え、県外から進出した企業との取引も拡大するだろう。

 地方創生の重点プロジェクトである若者の定着にも魅力的な働く場は欠かせない。技術力という強みを生かして商品の開発力を磨いていく企業は、本県のけん引役となることが求められている。