【2月8日付社説】ふるさと納税/出発点に立ち返って改善を

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 「ふるさと納税」を、地方の活性化につなげる制度として育てていくために、当初の趣旨を再確認するべき時期に来ている。

 本県をはじめ全国の自治体を対象に共同通信が調べた結果、返礼品を充実させて寄付を集める手法が広く浸透し、自治体同士の競争が激化していることが分かった。

 一方で、寄付する側も「通販感覚」で欲しい品を手に入れようとする流れが加速しており、「ふるさとを応援する」という理念はかすんでいるようにみえる。

 ふるさと納税は、税収が足りない自治体が税源を確保する貴重な手段になっている。税収の都市部集中を是正したり、返礼品を通じて地方の魅力を伝えたりする効果があるのは間違いない。

 ただ、豪華な返礼品が続々と登場し、2千円の自己負担額以上の価値がある品を贈られる例が多いため、寄付の仕組みであることが意識されにくくなった。総務省は、換金しやすい商品券や家電を贈らないよう自治体に要請した。

 自治体同士の競争が激化したことで、返礼品代が寄付額の4割前後を占め、独自の政策に使えるお金はさほど増えないことも判明。消耗戦に疑問を持つ自治体も多いことも浮き彫りになった。

 自治体にとって、返礼品競争と距離を置くのはなかなか難しいだろう。自らも積極的に寄付を集めないと、他の自治体にふるさと納税をした住民の税金を軽くするばかりとなり財源が減るからだ。

 アンケートでは、寄付した人に自治体が贈る返礼品を巡って、県内、全国ともに自治体の約7割が「本来の趣旨から離れている」(郡山市)などとして、上限額設定などによる是正が必要だと答えた。

 しかし、返礼品競争の是正に関しては、具体策を国が講じるのか、自治体間でルール化するのかなどで意見が分かれている。「地方の努力に水を差す」などと現状維持を求める声もある。十分に議論することが必要だ。

 一方で、東日本大震災や熊本地震への寄付のように、被災地支援では見返りがなくても寄付が集まっている。

 ふるさと納税は地域活性化に役立っているなどとして、県内で約9割、全国では約8割の自治体が評価しているのも確かだ。

 ふるさと納税は、自分が成長する過程でかけてもらった教育や福祉などの費用を寄付という形で故郷に恩返しする仕組みとして始まった。制度の理念を伝えるためには、自治体も返礼品だけに頼らず、共感を得るための工夫と努力が求められる。