【2月9日付社説】中1男子自殺/心のSOSに耳を澄まそう

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 子どもたちが自ら命を絶つ悲劇を繰り返してはならない。

 須賀川市の中学校1年の男子生徒が自殺した。遺書はなかったといい、自殺の原因は分かっていないが、同市教委は男子生徒が同じ学年の生徒からのいじめを訴えていたことを明らかにした。

 市教委によると自殺した生徒は、同学年の生徒十数人から悪口を言われたり、からかわれたりしていた。学校は昨年12月にいじめていた生徒たちを指導した結果、いじめが解消されたと判断し、経過を観察していたという。

 同市教委は今後、第三者委員会を設け、自殺といじめに因果関係があるかどうか調べるという。周囲の生徒や保護者らも精神的に傷ついていることだろう。慎重かつ丁寧に調査を進めてほしい。

 自殺者全体が減少する一方で、自ら死を選択する子どもたちが増えている。内閣府などの集計によると、2015年に自殺した児童生徒は341人で、前年に比べて約3%増えた。14年もほぼ同率で増加しており、子どもたちの自殺は深刻化している。

 自殺した子どもたちは、勉強や友人関係に悩みを抱えて死を選択する事例が多かった。しかし、自殺の原因は年齢や性別などによってさまざまであり、勉強や友人関係だけではなく、家庭の問題や将来に対する不安などが複合的に絡み合っている。

 学校や家庭、地域など身近な人たちが子どもの変調を見逃すことなく、積極的に手を差し伸べる体制を整え、子どもたちの自殺に歯止めをかけなければならない。

 中学1年生が自殺したり、自殺とみられる事例が、全国で相次いでいる。原因は一様ではなく、ひとくくりにすることは困難だが、自殺の背景を解き明かす努力を続けなければ貴い命は守れない。

 「中1ギャップ」という言葉がある。小学生から中学生になり学習や生活が大きく変化することでいじめが増えたり、不登校になったりする現象だ。入学直後に多いが長引けば自殺の要因にもなりかねない。間もなく入学シーズンを迎える。教育現場での対策を徹底してもらいたい。

 思春期はささいなことにいら立ったり、逆に落ち込んだりして心理的に激しく揺れ動く時期だ。福島大の鈴木庸裕教授は「子どもは孤立感や喪失感を感じたときにSOSを出す。日常の中にリスクがある」と指摘する。

 子どもたちが出すSOSを大人たちは受け止められているのか。SOSを受ける側の感度を高めていくことも欠かせない。