【2月10日付社説】子ども精神科病棟/多様な視点と連携を大切に

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 精神科医療を必要とする子どもたちが増えている。体制整備を急ぎ、子どもたちの成長を支えたい。

 県は、県立病院で唯一、精神科医療を行っている矢吹病院(矢吹町)を建て替え、子ども専門の精神科病棟「児童思春期病棟」を整備する。「新たな県立病院改革プラン(素案)」に明記した。建て替え後の新病院の名称は「こころの医療センター(仮称)」とし、一般向けの診療体制も拡充する。

 子どもの精神科医療を行う児童思春期外来を受診する子どもたちが増えているにもかかわらず、県内には専門の入院病棟がなく設置を望む声が多かった。できるだけ早期の開設を目指してほしい。

 児童思春期外来は、矢吹病院を含む県内41医療機関に設置されている。専門の医療機関や医師、スタッフの数は全国的に不足しており、県内の外来では、新規の予約を受け付けなかったり、予約をしても受診まで数カ月も待たされているのが実情だ。

 矢吹病院の児童思春期外来は、震災と原発事故があった2011年夏に設置された。診療体制の充実もあって患者数は増え続けており、15年度は千人を超えた。これは12年度の約2倍に当たる。

 増加について専門家は、児童思春期外来の存在が周知されてきたことに加え、虐待など子どもを取り巻く社会状況の変化も背景にあると推察する。県内では震災と原発事故によるストレスも加わる。症状が重い患者を治療する入院病棟の設置は時代の要請といえる。

 児童思春期外来は、18歳までの子どもたちを対象に発達障害や適応障害などの診療を行う。情緒不安定や不登校、引きこもりも対象だ。子どもの治療は、主に薬物治療を行う大人とは違い、心の安定を取り戻す心理療法が中心だ。

 診察には、専門医をはじめ、臨床心理士や保育士などのスタッフなど、各分野の高い専門性が求められる。子どもに合った専門的な医療を施し、早期の社会復帰を支援していくことが欠かせない。

 県は設計、建設工事を経て、21年度の開設を目指している。子どもの心を落ち着かせる環境を整えることと合わせて、家族が一時的に休息を取れるような支援(レスパイトケア)機能も備えるよう求めたい。課題となる医師の確保にも全力を挙げなければならない。

 子どもたちの心を解きほぐし成長を助けるためには、施設の整備だけでなく、ソフト面の充実も必要だ。教育や福祉など多様な領域と連携して、支援体制の拠点として役割を果たすことができるような体制整備も求めたい。