【2月15日付社説】工場立地数ダウン/戦略見直し誘致増へ反転を

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 県内の工場立地は、大型補助金による復興効果がピークを越えた。県は戦略の見直しを急ぎたい。

 2016年に県内で工場(敷地面積千平方メートル以上)を新設、増設した企業の届け出数は47件で前年に比べ33件減少した。東日本大震災と原発事故前の10年の42件を上回るが、震災後で最も少なかった。

 県は、12年に補助率や補助額が国内最高規模の「ふくしま産業復興企業立地補助金」などをつくり、工場立地を推進してきた。だが県は補助金を活用した工場の新設や増設が「一段落した」とみている。

 企業立地補助金は昨年9回目の募集が行われ、あと2年程度で約2000億円の予算を使い切る。双葉郡への工場建設などを補助する別の補助金も18年度まで延長されたが、予算は限られている。

 大型補助金の特効薬としての効果は薄れつつある。県は、製品の研究開発を補う研究機関との連携や、業績向上への税制措置など、企業が県内に進出した場合の支援策を、企業の実情に応じて示す提案型の戦略に力を入れるべきだ。

 県は再生可能エネルギーや医療機器、ロボット産業などの集積を産業復興の核として拠点施設を整備している。これまでに再生エネで産業技術総合研究所(郡山市)、医療機器でふくしま医療機器開発支援センター(同)が稼働し、ロボットのテストフィールドは南相馬市などに18年度に開所予定だ。

 拠点施設にはいずれも国内最先端の実験装置などが整えられている。県は企業に対し、拠点施設の優位性をアピールするとともに、関連する県内企業を仲介するなどの総合的な支援策を提案したい。

 一方、これまでに企業立地補助金の採択を受けた約470社のうち、工場の建設に着手していなかったり、建設が遅れていたりする企業が約110社ある。技術者不足や、建設資材の高騰などの影響が背景にあるという。これらの工場が稼働すれば約1300人の雇用が見込まれる。県は、できる限り工場を早期に稼働するよう各企業に働きかけることが重要だ。

 工場立地は、県内経済に与える効果が大きい。県が15年度末にまとめた企業立地補助金による経済波及効果は、工場建設や生産、従業員の消費などを含め3236億円に上り、雇用の創出数は2万人を超えると試算された。

 国内では今年、民間企業の設備投資が低い伸びにとどまるとの予測がある。県は、これまで以上に県内進出の意向がある企業を訪問して工場を建設する場合の規模や必要な支援などを把握し、本県経済の再生につなげてもらいたい。