【2月22日付社説】子どもの虐待/幼心に傷を残してはならぬ

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 幼心に深い傷を負わせてしまう児童虐待の根絶に向けて全力を挙げなければならない。

 児童虐待が増え続けている。虐待の恐れがあるとして県警が昨年、児童相談所(児相)に通告した件数は前年の4倍超となる573件で、統計のある2006年以降で過去最多となった。

 虐待の中で特に多いのは、言葉で傷つけたり無視したりする心理的虐待で、前年に比べ340件増の418件となった。全体の約7割を占める件数だ。これに身体的虐待やネグレクト(育児放棄)、性的虐待が続く。

 子どもの目の前で配偶者らに暴力を振るう「面前ドメスティックバイオレンス(DV)」を心理的虐待の一つとして加え、積極的に通告したことが増加の大きな要因だ。関係者からは「まだ氷山の一角ではないか」との声も聞かれ、予断は許さない状況にある。

 子どもの心身に大きなダメージを与え、ときには命までも奪ってしまう虐待に歯止めをかけるために、まずは虐待への対応を最前線で担っている児相のさらなる体制強化に取り組む必要がある。

 児相では、児童福祉司が子どもの養育相談や家庭環境の調査などを担う。県内4児相に41人が配置されているが、虐待の増加に伴って職員の負担も増すばかりだ。

 このため国は児童福祉司の配置基準を見直し、19年度までに全国で550人程度増やす考えだ。それによれば本県では7人ほどの増となるが、採用スケジュールはまだ決まっていない。県は財源確保など必要な措置を講じてほしい。

 国は、昨年10月施行の改正児童福祉法で、児相に「スーパーバイザー」と呼ばれるベテランの児童福祉司を配置することを義務付けた。県は配置済みの人数を公表しておらず、定数の7人には達していないという。スーパーバイザーが配置されれば相談体制の充実が期待される。県には配置を急ぐよう求めたい。

 4月からは、各市町村にも児童虐待に対応する専門職の配置が義務付けられる。住民からの通報や相談に十分に対応できるような体制の整備が望まれる。

 虐待の芽を摘むためには、子どものかかりつけの医療機関や、親子の支援に当たる保健師、学校などの役割も大きい。子どもや親の異変に目を配り、見守っていくことも大切だ。

 児童虐待には、生活苦やDVなどの問題が複雑に絡み合っているケースも多い。虐待を受けている子どもだけではなく、その親も救うための手だてを尽くしたい。