【2月23日付社説】試験操業拡大へ/確かな歩み重ね漁業再生を

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 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から丸6年を経て、本県漁業は再生に向けてまた一歩進むことになる。本格操業へ着実に歩みを積み重ねたい。

 県漁連は復興協議会を開き、第1原発から半径10~20キロ圏の海域を、試験操業を行う海域に追加することを了承した。3月中旬ごろに解禁される予定のコウナゴ漁から実施する。28日の組合長会議で正式に決める。

 試験操業は、2012年から漁獲する魚の種類や海域、操業日を限定して行っている。徐々に魚種や海域を増やしており、水揚げ量も年々伸び、昨年は2072トンとなった。魚種は97になった。

 今回の海域の拡大で、操業できる海域は震災と原発事故以前の姿に近づくことになる。10~20キロ圏内での操業を軌道に乗せることが、次への一歩につながることを銘記したい。

 20キロ圏内の試験操業を巡っては県漁連が昨年1月に試験操業の海域に加える案を示した。いわき市漁協は容認したが、相馬双葉漁協はがれき撤去が前提などとして保留した。がれき撤去は地元の漁業者の手で今年1月に完了。1年がかりで海域拡大にこぎ着けた。

 10~20キロ圏内の操業は、相双漁協請戸地区の漁業者が中心になり、請戸漁港も水揚げ港に追加されることになる。いわき市漁協は当面見合わせる。請戸地区の漁業者にとっては、原発事故後初めて地元の海で漁ができるようになる。地元での操業の喜びを古里の復興加速につなげてほしい。

 県が行っている放射性物質の検査では、20キロ圏内の魚も含め、本県沖の魚介類は15年4月以降、全ての検体で国の食品基準値(1キロ当たり100ベクレル)を超えていない。しかも昨年の検査では95%が検出限界値未満という結果だった。

 県漁連や漁協は出荷前に、県より厳しい基準で検査を独自に行っているが、海域の拡大に合わせて県に対しても検査体制の充実を求めている。本格操業に向けては消費者の信頼を得続けることができるよう努めなければならない。

 第1原発では昨年、作業ミスによる汚染水の漏えいなどが相次いだ。配管工事中に弁を開いたまま装置を動かしたり、汚染水をためるタンクの汚染雨水を回収中にホースが外れたりといった内容だ。

 いずれも海洋への影響はなかったが、本格的な操業を目指して試験操業を進める漁業者のことを思えば、努力に水を差すようなことはあってはならない。東電には汚染水対策を確実に進めるよう重ねて求めたい。