【2月24日付社説】本県と放射能/マイナスイメージ拭い去れ

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 復興を進めるためには、県外に根強く残っている本県と放射能が結び付いたマイナスのイメージを拭い去らなければならない。

 関西学院大(兵庫県西宮市)の男性外国人非常勤講師が2014年秋、英語の授業中、本県出身の女子学生に「放射能を浴びているから電気を消すと光ると思った」と発言した。学生はその後、体調を崩し、他の授業を含めてほとんど出席していないという。講師は大学の調査に対して「冗談のつもりだった」と説明、大学は講師を減給3カ月の懲戒処分にした。

 大学講師の行為はキャンパス・ハラスメントにほかならない。言葉が持つ力は強く、大きい。使い方を誤れば人を深く傷付ける。冗談では済まされない話だ。

 同じような釈明はつい先日にも聞いたばかりだ。

 1部上場企業の社長が環境相と意見交換した際、自らの体格について「放射能の影響で大きくなりました」と述べた。社長は「冗談だった。不適切な発言だった」と謝罪した。配慮に欠く軽はずみな発言だと言わざるを得ない。

 昨年から今年にかけて、本県から県外に避難している児童や生徒たちに対するいじめも相次いで明るみに出ている。

 これらの根底にあるのは、放射線に対する科学的根拠に基づかない漠然とした不安から生じる本県や県民への誤解や偏見だ。放射能や放射線に関する理解不足は言うまでもない。

 それは消費者庁が13年から行っている風評被害に関する消費者意識の実態調査にも表れている。

 原発事故から時がたつにつれて食品と放射線に関する消費者の関心が低下するかたわら、検査によって安全な食品しか流通していないことを知る人は減り、情報不足のためリスクを考えられないという人が増えてきた。いまはその知識と理解が固定化しつつある。正しい情報が伝わっていないのだ。

 政府は福島復興再生特措法改正案に、避難した子どもへのいじめ防止を明記し、農産品の風評被害調査の実施を盛り込んだ。さらに、いじめ防止対策推進法の基本方針には「震災いじめ」の未然防止と早期発見を追加した。これらの動きを一歩前進と評価するが、対応が後手に回った感は否めない。

 県は風評・風化対策に取り組んでいるが、次々に起こる負の事象は対応が不十分であることの証しと言えるだろう。国内外への情報発信の方法や内容など在り方を早急に見直し、政府と共により踏み込んだ対策を講じなければならない。本気度を示してもらいたい。