【2月26日付社説】登山と火山防災/急変に備え万全の手だてを

  このエントリーをはてなブックマークに追加 

 登山者や観光客に安心して山歩きを楽しんでもらうためには、万一の噴火に備えた安全確保と避難対策を徹底しなければならない。

 県は、吾妻山、安達太良山、磐梯山が噴火した場合に備えて、登山者の警戒避難体制の強化に乗り出した。3山の周辺自治体などでつくる各火山防災協議会と連携し登山道へのヘルメット保管庫や、サイレンの設置などを検討する。

 3山は、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)が昨年秋まで2年近く続いていた吾妻山を含めて、現在は全てが1(活火山であることに留意)となっている。

 しかし、2014年9月に噴火した御嶽山(おんたけさん)(長野・岐阜県)も噴火時はレベルが1だったことを考えれば、急変に備えて警戒を怠ることはできない。

 噴火時に、登山者にまず必要なのは噴石などから頭部を守るヘルメットや身を隠す場所の確保だ。

 県は、3山のビジターセンターや山小屋などにヘルメットや防塵(ぼうじん)マスクを配置している。しかし突発的に噴火が起きた場合、これらの施設から離れた所にいる登山者は危険にさらされることになる。

 このため県は、登山道にヘルメット保管庫を設置したい考えだ。その場合、十分な数を用意するとともに設置場所を分かりやすく示すことが重要だ。最近は外国人旅行者も増えている。多言語での案内など工夫を凝らす必要がある。

 御嶽山の噴火では、山小屋が避難場所として大きな役割を果たす一方で、噴石で屋根が突き破られるなどもろさも露呈した。

 県は避難場所としてビジターセンターや山小屋、避難小屋などを想定している。吾妻山の浄土平ビジターセンターは新年度、屋根を補強するなど噴石への対策を強化する。他の施設も補強工事を急いでもらいたい。

 火口周辺にいる登山者の安全を守るためには避難シェルターが有効だ。設置には法規制の緩和などが課題だが、人命が最優先だ。環境や景観に配慮しつつ早期設置を目指してほしい。

 県は噴火の兆候があった場合、登山者に危険を知らせるサイレンを設置する方向だ。一歩進めて、衛星電話と拡声装置を組み合わせた警報システムを太陽光発電で稼働するようにすれば、設置場所を選ばず、より具体的に内容を伝えることができるだろう。

 御嶽山噴火を教訓に改正された活動火山対策特措法では登山者にも噴火時に円滑、迅速に避難するために必要な手段を講じるよう定めている。登山者自身も身を守るための備えを怠らないでほしい。